アメリカのトヨタ批判は保護主義とは関係ない--リチャード・カッツ 本誌特約(在ニューヨーク)

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 下院監視・政府改革委員会は、安全性の問題を隠蔽したとしてトヨタを提訴している、トヨタの元顧問弁護士に内部資料の提出を命令している。同委員会のエド・タウンズ委員長は、「これらの文書は、トヨタが訴訟の証拠開示命令に応じて作成が義務づけられている記録を意図的に隠蔽したことを示している」と語り、さらに「トヨタは組織的に法律を無視している」と糾弾している。

隠蔽問題は日本でも反響を呼びつつある。2月23日、前原誠司国土交通相は「トヨタ側が国に対して情報をしっかり伝えていなかった可能性が高い」と語った。

日本政府はリコールを自動車メーカーの自発的な報告に頼っている。なぜなら、車のリコール技術検証業務を担当する交通安全環境研究所の検証部門の常勤職員は1人しかいないからだ。トヨタを取り巻くスキャンダルは、三菱自動車に重大なダメージを与えたのと同じレベルに達する可能性がある。

今後、トヨタには修理費用、売り上げ減、訴訟に伴う経費など計り知れない費用がのしかかるはずだ。トヨタにとって、今回のスキャンダルは、「安物買いの銭失い」になるだろう。

Richard Katz
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

(週刊東洋経済2010年3月20日号)

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