アメリカのトヨタ批判は保護主義とは関係ない--リチャード・カッツ 本誌特約(在ニューヨーク)
アメリカ人は過ちを認め、是正措置を講じた場合、その過ちを進んで許す。
トヨタが最初から正直に説明していれば、トヨタ車の高い品質からして、他の自動車会社よりも簡単に許されていただろう。事実、自動車関連の苦情を調査し、リコールを命令する権限を持つ米高速道路交通安全局(NHTSA)によれば、トヨタは1台当たりの苦情の割合が最低であった。
トヨタは膨大なコストを払うことになるだろう
04年にアメリカ最大の自動車保険会社、ステート・ファーム社は急激な加速問題についてNHTSAに報告を行っている。だが、トヨタは運転手のミスだと言い続けた。NHTSAも調査せず、同局の少ないスタッフは他の優先的な問題に携わっていたと弁明していた。
議員たちは、トヨタのワシントン事務所の安全問題担当のアメリカ人幹部2人は元NHTSA幹部で、それが同局のトヨタの扱いが甘くなった理由ではないかと疑っている。公聴会で委員は、09年7月にトヨタが「NHTSAと交渉してリコール範囲を制限したことにより経費を1億ドル節約した」と社内で説明したとされる件に関して、北米トヨタの稲葉良H社長を問い詰めた。
09年12月にNHTSAのロン・メドフォード局長代理は豊田市で、品質保証担当の横山裕行トヨタ常務執行役員と会談している。ここでもトヨタは欠陥を否定し、フロアマットを誤って敷いたのが原因であると運転手を非難し、メドフォード局長代理を激怒させた。
その1カ月後、NHTSAに対して、トヨタの2人の役員が少なくとも1年前からアクセルに問題があることを知っていたと認めた。議員は、繰り返し稲葉北米トヨタ社長に隠蔽を裏付ける内部資料について質問をしている。