年収850万超の人がやるべき年末調整の節税術 重い税負担を少しでも軽くできる方法がある
一部の人にとって減税になるのが、新設された「ひとり親控除」です。離婚や死別によってシングルになった人などには、従来「寡婦(夫)控除」があり、所得から一定の額が控除されていました。ただし、シングルマザーとシングルファーザーでは控除の内容に差があったほか、未婚のひとり親には控除がありませんでした。その格差を解消するために、「ひとり親控除」が新設(寡婦控除の改組)されたわけです。
ひとり親控除の対象になるのは、以下のすべてに該当するひとり親で、控除の額は35万円です。
② 所得が500万円(給与収入677万7778円)以下
③ 住民票の続柄に「未届の夫」「未届の妻」など事実婚の記載がない
前述のとおり、未婚のひとり親は新たに控除の対象となります。また、寡夫控除を受けていた人は、控除額が27万円から35万円に増えることになります(寡婦の特別控除を受けていた人は、控除額は変わりません)。
夫と離別・死別し、子ども以外の扶養親族(親など)がいるシングル女性と、夫と死別し、扶養親族がいないシングル女性(離別は対象外)には「寡婦控除」が適用されます。妻と離別・死別したシングル男性は対象外です。対象となるのは所得が500万円(給与収入677万7778円)以下で、住民票の続柄に「未届の夫」「未届の妻」など事実婚の記載がない人です。控除額は27万円です。
「iDeCo」の掛け金の控除で忘れがちな手続き
ここからは、「忘れがちな控除」をみていきましょう。まずはiDeCo(個人型確定拠出年金)をしている場合です。
iDeCoは、掛け金を自身で選んだ商品で運用し、将来、年金や一時金として受け取る制度です。掛け金が全額、所得から控除され、所得税や住民税が軽減されますが、このメリットを受けるには、年末調整での手続きが必要です。
iDeCoの掛け金は、「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除として扱われます。年末調整の書類にある「小規模企業共済等掛金控除」の「個人型又は企業型年金加入者掛金」という欄に、証明書に記載されている掛け金の総額を記入します。なお、今年からiDeCoをはじめ、最初の拠出が10月以降だった人や、拠出が年1回の場合は年末調整では手続きできず、「確定申告」をする必要があります。
例えば、課税所得が330万~695万円の会社員や公務員の場合、所得税の税率は20%。企業年金がない会社員が上限額(27万6000円)まで拠出すると、所得税と住民税合わせて8万2800円の節税になります。実質的には19万3200円の負担で、27万6000円分を年金づくりに回せる、というわけです。
年末調整を受けるには、毎年10~11月ごろに国民年金基金連合会から送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。届いているか、確認してください。
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