東電の「検針票ペーパーレス化」はユーザー不在 12月から紙配布終了、Webサイトは不親切
それはさておき、次に看過できないのが、チラシを見ずに捨てたりした場合に、本人の意向と関わりなく検針票が届かなくなることだ。取材に応じた東電の担当者によれば、「ペーパーレス化実施前の2度(2カ月)にわたり、検針票と一緒にチラシをポストに投函して告知に努めている」というが、筆者自身がそのうちの1回について見逃していた。
意思表示がないまま紙の検針票が届かなくなった場合、「お問い合わせいただければ、再び紙の検針票をお届けする」(東電の担当者)という。だが、「高齢者などでは、検針票が届かなくなってもしばらくは気づかず、数カ月経ってから急に心配になり、右往左往する人も多いのでは。丁寧な告知が必須だと思う」(大石美奈子・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会代表理事)。
検針票の裏面にも「紙の検針票終了のお知らせ」の告知がされているが、「検診結果はWebにてご確認ください」とあるだけだ。詳細についてはスマホでQRコードを読み込んで自分で調べないといけない。ましてや検針票の配布を希望する場合の手続きについては検針票には何の記載もない。この程度の説明では、スマホを持たない高齢者などは実際に困るのではないかと思った。
使い勝手の悪いWebサイト
ちなみに東電によれば、紙の検針票のペーパーレス化については、規制料金の契約者の約1割を対象としてすでに2019年6月から試行的な取り組みを実施してきたという。その過程で、「対象者の1割以上で2割に満たない方が引き続き紙の検針票配布を希望した」(東電担当者)。
その中には、いったん検針票配布が終了した後に、カスタマーセンターに連絡して元通りにしてもらった顧客もおよそ半数いたという。困って連絡してきた人が存在することを東電の担当者は暗に認めている。一方、残る8割以上のペーパーレス化された顧客の中にも、事情を飲み込めずに検針票が届かないままになっている人も存在すると見られる。
東電が新たに開設したWebサイト自体も、不親切きわまりない。前述の「重要なご案内」によれば、「東電 web検針票」で検索すると新たに開設された専用サイトにアクセスできる。電気料金や電気の使用量を確認すべく試したところ、その使い勝手の悪さに呆然とした。
というのも、アクセスのたびに、①契約名義(氏名)、②住所、③事業者コード、④お客さま番号、⑤電話番号という5種類の情報を入力しなければならないからだ。①、②、⑤はともかく、③の事業者コード(3ケタ)、④お客さま番号(13ケタ)はいずれも東電が社内管理のために用いているもので、ほとんどの契約者はその番号の存在自体を知らないと思われる。
今後、月々の電気の使用状況を知りたければ、そうした13ケタのお客さま番号をパソコンやスマホで毎回入力しなければならない。事業所コードやお客様番号を忘れると面倒なことになるので、今までにもらった紙の検針票を大切に保存しておかなければならない。
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