女性の広い支持、個性派女優「伊藤沙莉」の素顔 9歳でデビュー、映画やドラマに引っ張りだこ
伊藤:私はわかったと思ったら聞きたい人だから「今、こう思ってると思うんだけど、どうして?」とか小さい頃から母に聞いたりしてました。向こうにしたら「わかってても言わないでよ」みたいな(笑)、可愛くない部分があったと思いますね。
樋口:ハハハ! わが子ながら隠し事ができないという。そうやって小さい頃から耳で聞いて経験値を得ていたんでしょうね。実際、耳から得たものは女優のお仕事にも生かしている?
伊藤:セリフのニュアンスで迷ったとき、今まで出会ってきた面白い人を頭の中から引っ張り出して、この人にこのセリフを言わせたら面白いかもって当てはめながら真似したりしますね。例えばやりすぎて滑るなと思ったら、あの人みたいにさらっと面白く言うといいかも、みたいな。
リスペクトしていたのは樹木希林さん(伊藤)
樋口:伊藤さんは初めから女優志望だったんですか? 耳がいいというところで、トークするお仕事とか他の職業は考えなかった?
伊藤:初めはダンサー志望でした。そこから歌も練習するようになって、当時はどちらかというと音楽のほうに進みたかったんです。
樋口:リズムや間の取り方とか、音楽を経験している人の方が圧倒的に演技がうまいって聞きますものね。
── デビュー作は、ドラマ『14ヶ月』ですよね。
伊藤:初めての役は、9歳の時で36歳の女性でした。若返りの薬を飲んでしまった36歳の女性科学者が、恋をする度にどんどん若返っていくという話。子どもの容姿だけど、台詞は全部大人という。私、何言ってるんだろう? と思いながらやってましたね(笑)。
樋口:最初から相当難しい役ですね。目指している俳優さんはいますか?
伊藤:目指しているというのはおこがましいですけど、ずっと憧れていて、リスペクトしていたのは、やっぱり樹木希林さんです。共演させていただくのがず~っと夢だったんです。もう叶えられなくなってしまったのですが……。
樋口:素晴らしい俳優さんです。樹木希林さんのどういうところに憧れたのでしょう?
伊藤:以前から自分の中で絶対的な存在ではあったんですが、大人になってから見た『悪人』という映画で、樹木さんの背中が“すごくよく喋っている”と感じて。この人は、人生を背中に背負っているんだなって。それで生意気ですけど、いつか樹木さんみたいな背中で演じられる俳優になりたいと思うようになりました。
樋口:樹木さんの背中からそれを感じ取れる伊藤さんもすごいです。もう共演できないのは残念ですね。
伊藤:本当にご一緒したかったですね。