「アソビ」で始まった僕のサラリーマン生活 古市憲寿×成毛眞 対談
古市:では、知人のツテで初めて就職した会社には、やりがいなどは感じたのですか?
成毛:非常に面白かったですよ、何をしている会社か説明すると、日米の合弁会社で自動車の部品を作っている会社なんですよね。当時は、大学卒の新人は僕で3人目でした。本社の横に工場があったというのもあって、ほかの社員は高卒の社員が多かったですね。
ベンチャー企業的な気風を持っていた会社だったというのもあって、仕事はなんでもやらせてもらえました。それこそ営業しながら鉄板を買って来いとか、時には廊下を掃除してこいとかね(笑)。
あらゆることが起こるわけですよね、それって作りたてのベンチャーと一緒だったので、けっこう勉強になったというよりも、面白かったですよね。なにしろ。
仕事はとにかく自分で工夫して面白くする
古市:仕事はどうやって身に付けていったのですか。自然に身に付いたのですか?
成毛:自然ですよね。誰でもそうだと思います。一生懸命取り組んでいれば、必ず身に付きます。結局、3年働いてその会社は退職してしまうのですが、今から考えてみれば、そこでは、「3年間で身に付いたものがどういう意味を持つか」ということを考えさせられますね。
古市:仕事の持つ意味、ということでしょうか?
成毛:というよりも、仕事への姿勢ですね。「面白くやると、面白く過ごせるし、つまらないと思ってやるとつまらなく過ごせる」ということです。若手のうちは、スゴいマーケティングだの経営だの営業だののノウハウとかテクニックというのは、あんまり関係ないですよね。それは枝葉末節のことです。
古市:面白いと思えるかどうかが大切、ということですね。中には、どうしても面白く仕事に取り組めないという若者もいると思いますが、そういう人はどうすればいいでしょうか?
成毛:それは大人が自分で工夫して面白くするんだよって、教えなきゃいけないかもしれませんよね。むしろ、そもそも仕事というものに対しての概念が違うんですかね。昨日ちょうど、NHKのテレビを見ていたらクレーンのオペレーターの話が出ていて、そのガントリークレーンでコンテナを運ぶやつですけど、その人がもう何十年もやっているんだけど、毎日毎日達成するべき目標を自分で作って、どんどん上達しているんですね。
結局、自分が超えるべき目標みたいなのを作って、それに近づくために努力をすることを楽しんでいるのだと感じました。そういうことができるかできないかというのは、ひとつは才能。誰にも言われなくてもできるのは才能なんだけど、誰かに言われないとできない人ならば、上の人なり家族なり友達なりに教えてもらったほうがいいでしょう。