新MacBook Proが「夢の1台」と言い切れるワケ バッテリーを「使い切る1日」が実際なかった

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MacBook Proを4日ほど試しながら記事を作成している。週末はNetflixを楽しみ、ウィークデーは原稿を書いたりビデオ編集をしたりと、特別なことをせず普段どおりのコンピューターの使い方で、M1搭載のMacBook Proを試してきた。

結論から言えば、その日のうちにバッテリーを使い切る日はなかった。少し具体的に書くと、朝100%で仕事を始めて、エディター、ブラウザー、Slack、Messenger、メールといった文字中心の仕事を1時間半行なって、やっとバッテリーが1%減った。この計算だと、60時間以上使えることになってしまう。さすがにそんなことはないと思うが、少なくとも毎日充電器を持ち歩かなくてもいい、ということになる。

MacBook Pro 13インチモデルは、ネットサーフィン18時間、ビデオ再生20時間というカタログ値を示している。普通のコンピューターでは、こうした値はあまり当てにならず、よくて半分、というマシンがほとんどだった。実作業の負荷次第だからだ。

ところがMacBook Pro 13インチモデルは、本当に12時間以上使うことができるだけのスタミナの強さを発揮し、実利用の中では「使う筆者の目が疲れて試合終了」を迎えることになった。

iPad Proに対してMacBookシリーズが劣っていたバッテリー持続時間というポイントが完全に消滅した瞬間であった。

多くの人は、毎日ビデオ編集をしたりはしないだろう。そうした人なら、充電器をカバンに入れ忘れても、不安はなく、そのうち荷物を軽くするために、充電気を持とうとしなくなるかもしれない。それぐらいの安心感を、ノートパソコンのバッテリーから感じたことがあっただろうか……。

夢の1台だが…

高性能と省電力性は、まさにアップルがインテルチップから自社設計のM1に移行した理由だ。そして、その移行の理由を納得して余りあるほどに、高性能化と省電力化の双方が達成され、両立している存在。

これが2020年にM1チップ搭載で再び刷新されたMacBook Pro 13インチモデルである。速くて電池が持つことは、ノートパソコンを使うあらゆる人にとって望む機能であり、夢のマシンと言っても過言ではない。
同時に、この夢のマシンを選びにくい事情もある。MacBook Airの存在である。

今回のモデルには、Thunderbolt/USB 4ポートが2つのみ備わる。4ポートモデルは、インテルチップを搭載して引き続き販売されており、今後の刷新に期待がかかる(筆者撮影)

同じディスプレーサイズでさらに薄く、110g軽いボディを実現しているM1搭載のMacBook Airは、Proよりも、ネットサーフィンもビデオ視聴も2時間ずつ短い。

しかしMacBook Pro 13インチで、どうやっても使い切れないほどバッテリーが持つのであれば、ちょっと少ないバッテリーでも十分ではないか、と思ったのだ。価格も3万円安くなり、税抜10万4800円から手に入る。

一方、ビデオ編集など負荷の高い作業を行う場合、MacBook Pro 13インチの排熱性能は有利になるし、ディスプレーの明るさもProのほうが上だ。少しでもクリエイティブな作業に活用しようと考えているなら、MacBook Proを選ぶべきだ。

こうした夢のような1台に仕上がったM1搭載MacBook Pro 13インチ。ただしこれが、アップルのプロ向けノートブックの中で最下位モデルであることを、改めて思い出しておきたい。大満足の1台でも、まだ先があると思うと、その期待を隠しきれないのだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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