ソフトバンクG、2兆円投資担う「影のキーマン」 上場株投資の運用責任者に若手人材を抜擢
「AI革命を支援する投資会社なのに、上場会社は(投資の)対象外だなんて、誰が決めたんだと。私は上場しようがしていまいが、活躍する会社に投資していく」
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は今、アメリカの大手IT企業を中心とした上場株投資を急激に膨らませている。11月9日に開いた中間決算の会見で、投資の背景を冒頭のように説明した。「まだテスト段階」(孫氏)とは言うものの、上場株に投じた資金は2兆円を超す。
8月に発表した上場株の投資運用子会社は、SBGが67%、孫氏が33%を出資し、アラブ首長国連邦のアブダビを拠点としてファンドが運営されている。9月末時点で、アマゾンやフェイスブック、アルファベット(グーグルの親会社)など約1.8兆円の現物株と約4000億円のコール・オプション(あらかじめ決められた価格で株を購入する権利)を保有している。
孫氏が抜擢した39歳のインド人
コールオプションの取引では買い手が売り手に対して、「プレミアム」と呼ばれる権利料を支払う。株価が値上がりすれば少ない投資額で多くの利益を得られる一方、値下がりを受けて権利を放棄すれば、支払った権利料は損失となる。現物株よりもハイリスク・ハイリターンの手法だ。9月に海外メディアが巨額のオプション取引を報じた際、複数の市場関係者は一様に「SBGはまるでヘッジファンドのようだ」と口にした。
今回の決算では、SBGはこれまで非開示としていた投資運用子会社の体制を初めて明らかにした。
運用子会社の社名は「SB Northstar(ノーススター)」。そして運用の実務を担うのが「SB Management(マネジメント)」だ。この会社のCEO、つまり上場株投資の責任者を務めるのが、アクシェイ・ナヘタという人物である。同氏はインド・ムンバイ出身の39歳。自身より20歳以上も若い人材を孫氏は抜擢した。意思決定を行う「投資委員会」はナヘタ氏と孫氏、SBGの古参幹部であるロナルド・フィッシャー副会長の3人で構成される。
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