ソフトバンクG、2兆円投資担う「影のキーマン」 上場株投資の運用責任者に若手人材を抜擢

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ナヘタ氏はアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で電子工学とコンピューターサイエンスの修士号を取得後、金融の世界に飛び込んだ。2005年から2010年までドイツ銀行に在籍し、その後富裕層の資産を運用するヘッジファンドを設立した。

ブルームバーグの報道によれば、ナヘタ氏は2016年に来日し、自身のファンドに投資してくれることを期待して孫氏と面会。その際にソフトバンク・ビジョン・ファンドの計画を聞き、孫氏に誘われて2017年にSBGへ転身。SBGが9月に発表したイギリスの半導体設計会社アームの売却では、ナヘタ氏が陣頭指揮を執っていたという。

上場株運用の責任者を任されたナヘタ氏。どんな実績を上げられるか(写真はSBGのサイトより)

ナヘタ氏は今年、ビジョンファンドにおける欧州地域の投資担当者から現職に転じた。ビジョンファンドのウェブサイトには投資担当者時代の紹介ページが残っている。

その中でナヘタ氏は、「MITに在籍していた際、ある卒業生から、アカデミアを出て“楽しく生きろ”と言われた。彼はエンジニアとしてキャリアを始め、トレーダーとして銀行業界に飛び込み、アメリカの金融市場に革命を起こした。私は誰も気づかない可能性を見つけ出すような面白い人たちに囲まれていたい(一部省略)」と語っている。ナヘタ氏にとって、かつて卒業生から言われたような“楽しい”環境がSBGにあるのかもしれない。

余剰資金を上場株投資に充当

SBGは今年3月以降、自社株買いや負債削減のために、株式売却などで保有資産の資金化を急ピッチで進めた。9月には子会社ソフトバンク株を1.2兆円分売却した結果、9月末時点の資金化額は計画(4.5兆円)を大きく上回る5.6兆円となった。

上場株投資はそうした余剰資金の運用や、「(約20兆円分の株式を保有する)アリババグループに偏りすぎている」(孫氏)という資産の多様化が目的だとしている。4月にSBG本体が試験的に投資を始め、7月以降は新設したノーススターが上場株投資を引き継いだ。

2020年4~9月の上場株の投資損益は、SBG本体が2638億円の投資利益を計上したのに対し、ノーススターは、現物株とデリバティブを合わせて3954億円の投資損失を出した。ノーススターに33%出資する孫氏の非支配持ち分を除くと、SBGに帰属する投資損益は1.5億円の黒字だった。

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