10月に日本で発表された5代目ルノー「ルーテシア」は、トヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」などと同じ、Bセグメントに属するコンパクトカーだ。
日本におけるルノーというと、根強い人気を持つハイトワゴンの「カングー」と、リアエンジンのコンパクトカー「トゥインゴ」、前輪駆動の高性能車「メガーヌR.S.(ルノースポール)」が主役的な存在だが、ヨーロッパではそうではない。
新型ルーテシアは、2019年のヨーロッパBセグメント販売台数で、フォルクスワーゲン「ポロ」やプジョー「208」などを差し置いて第1位の座にあり、乗用車全体でもフォルクスワーゲン「ゴルフ」に続く2位だった。さらに今年に入ってからはゴルフを抜き、欧州でもっとも売れた乗用車になる月さえも出てきている。
ただし、日本以外でこのクルマは、ローマ時代のパリの呼び名である「ルテティア」にちなんだルーテシアという車名は与えられていない。フランスをはじめとする海外では「クリオ」と呼ばれる。
1990年に、それまでこのクラスを担当してきたルノー「5(サンク)」を引き継ぐ形でクリオが生まれたとき、日本ではホンダが販売チャンネルの1つとしてこの名前を商標登録していたことから、独自の車名を与えたと言われる。
その後、ホンダの販売チャンネルはホンダカーズに統一されたが、同社は現在コンパクトワゴンに使っている「シャトル」をかつて「シビック」のバリエーションとして起用していたことがあるなど、名称の復活を頻繁に行う会社なので、クリオの商標を保有したままなのだろう。
先代モデルとデザインが似ているワケ
写真を見ただけでは、新型ルーテシアの人気の理由がわかりにくいかもしれない。先代とあまり変わらないからだ。
詳しい人でなければ、マイナーチェンジだと思う人もいるだろう。それぐらい、新型と先代は似ている。これは、先代がモデル末期になってもセグメントトップの座をキープする人気車種であり、最大の理由がスタイリングにあったからだ。とはいえ、変わっているところもある。
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