「ヤリスクロス」と「キックス」は何が違うのか

欧州と新興国、狙う市場が異なる2車の全容

ヨーロッパでも2021年半ばに発売を予定しているヤリスクロス(筆者撮影)

今年9月の新車販売台数で、ちょっとした変化が起こった。日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の発表によると、1月からトップの座を守ってきたホンダ「N-BOX」をトヨタ「ヤリス」が上回ったのだ。

先月トップだったN-BOXは、8月より約4000台上乗せして1万8630台となったが、ヤリスは8月の約2倍となる2万2066台を記録して圧倒した。その結果、2017年8月のトヨタ「アクア」以来、登録車が軽自動車を上回った。

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ただし、自販連のランキングを見ると、8月31日に発売された「ヤリスクロス」が入っていないことに気づく。これは、ヤリスのバリエーションの1つとカウントしているためだ。

最近では、1車種で複数のボディを持つことは少ないが、以前は同じ車種でセダン、ワゴン、クーペなどが選べるのが普通で、現在もトヨタ「カローラ」はセダン、ワゴンの「ツーリング」、ハッチバックの「スポーツ」のほか、併売される旧モデルのセダン「アクシオ」とワゴン「フィールダー」も含めた5タイプの合算となる。

いずれにしても、先月のヤリスの大躍進には、ヤリスクロスが果たした功績が大きい。

なぜライズがあるのにヤリスクロスを発売したか

トヨタには同じコンパクトSUVとして「ライズ」もある。価格はライズが167万9000円から、ヤリスクロスが179万8000万円からと近い。自販連の統計では、ライズは今年1月、2月、6月に登録車トップになっており、9月もヤリス、カローラに続く3位につけるなど根強い人気を保っている。

では、なぜトヨタはライズがあるのに、ヤリスクロスを出したのか。それは、同じコンパクトSUVであってもキャラクターが違うからだ。ほかのブランドでいえば、日産自動車の「キックス」と「ジューク」の関係に近い。

日産車として日本国内では10年ぶりの新型車となったキックス(筆者撮影)

6月24日に発表されたキックスは、日本ではジュークに代わる車種として投入されており、入れ替わりにジュークの販売が終了となった。ジュークそのものが消滅したわけではなく、ヨーロッパでは昨年、新型ジュークが登場している。そのため、日本向けをキックスに切り替えた判断には、賛否両論があった。

日産が我が国にジュークではなくキックスを投入した理由は、発表の場からある程度、うかがい知ることができる。

現行ジュークは、2019年にロンドン、パリ、ミラノ、バルセロナ、ケルンのヨーロッパ5都市で同時発表した。一方のキックスは、2016年にリオデジャネイロでデビューし、今回、日本で販売するマイナーチェンジ版は今年、バンコクで公開されたものだ。

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