自民がリニア「関西同時開業」を狙う舞台裏

利子と税金で、JR東海を財務支援?

決議案には、もっともらしい大義がそう書かれている。「リニアは安倍政権にとっても究極の成長戦略になる」と、ある自民党中堅議員も強調する。スキームの概要は以下の通りだ。

①まず、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が財投機関債を発行し、資金を調達する(場合によっては国が政府保証)、②鉄道・運輸機構がリニアの路線を建設する、③完成後、鉄道・運輸機構が路線をJR東海に引き渡す、④JR東海が資金の元本部分のみを分割で返済する、という手順である。

この方式なら、数百億~数千億円とされる利子部分(返済期間・金利で金額は変動する)は、国が負担することになる。借金とはいえ、JR東海にとっては利子のつかないカネであり、「利子負担がなくなる意味は大きい」と、JR東海役員もうなるほどだ。

JR東海は1997年10月の上場以来、一度も公募増資をしておらず、「当面するつもりはない」(JR東海役員)。資金調達は借入金と社債に頼っており、特に10年以上の長期の資金は社債が中心である。現在のところ、JR東海の社債格付けはAa3(ムーディーズ)で、トヨタ自動車とも同じレベルなのだが、「これはリニア計画を織り込んでいない」(ムーディーズ)前提。これから、具体的な着工や投資額が明らかになってから、再び見直すとしている。株式市場でも、JR東海がリニア計画を全額自己負担すると宣言した07年、同社株が急落しており、財務リスクへの警戒心が強い。純粋にカネの面だけ見る限り、資金負担の減る効果は小さくない。

さらに利子だけではない。スキームには「所要の税制等の措置を講ずる」とも書いてある。実際に2014年度の税制改正では、JR東海が建設するリニアの路線の用地取得に関し、不動産取得税と登録免許税が免除されることが決まった。国の関与拡大はジワリ深まっている。

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