トランプ氏「負けても4年後また出馬」の現実味 表舞台からあっさり消えるとは考えがたい

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トランプ氏は自らのテレビネットワークを立ち上げてFOXニュースに対抗することに以前から関心を示してきた。最近では内輪の会話で2024年の大統領選挙に再出馬する考えを持ち出すようになっている。

その頃には78歳になっているが、たとえ出馬が難しい年齢になったとしても、8800万人というツイッターのフォロワー数が巨大なメガホンとなり、右派を動かす存在であり続けられる。つまり、トランプ氏は共和党の新進政治家にとっては、その人選を陰で操るキングメーカーとなる可能性がある。

この4年間でトランプ氏と決別した数少ない共和党議員の1人、ジェフ・フレーク元上院議員(アリゾナ州選出)が言う。「今回の選挙結果で明白になったことがあるとすれば、それはトランプ氏には大勢の支持者がいるということ、そして同氏には表舞台からすぐに姿を消すつもりはない、ということになるだろう」。

そうした巨大な支持基盤に支えられ、トランプ氏が再び大統領となるのに必要な得票数をひねり出し、2期目の4年間で自らのイメージどおりに経済と共和党の姿をつくり変える可能性はまだ残されている。しかし再び大統領になれなかったとしても、トランプ氏は上院の過半数を維持した共和党議員に圧力を加え、バイデン政権の政策にことごとく反対するようけしかけることもできる。バイデン氏や民主党と和解すればトランプ支持者が黙っていないぞ、と踏み絵を迫る展開だ。

共和党内のトランプ支持率は9割超

出口調査によると、トランプ氏は共和党支持層から93%の票を獲得し、党内で圧倒的な支持を誇っている。共和党内にはユタ州選出のミット・ロムニー上院議員や「ネバー・トランパー」と呼ばれる反トランプ分子で構成される「リンカーン・プロジェクト」のような目立った造反勢力が存在するにもかかわらず、だ。トランプ氏はさらに、人種差別的な発言を繰り返しながら、黒人とヒスパニックからの得票率も4年前に比べ伸ばしてきている。

トランプ氏の主張は党員の考え方に相当な影響を及ぼすようになっている。コロナ禍で経済が大打撃となったのに、共和党を支持した有権者の41%はトランプ政権の4年間で経済の状態は良くなったと回答。悪くなったと回答した20%を大きく上回った。重視する政策についても、トランプ氏が掲げる優先順位を受け入れ、経済が最も大切だ、と答えた有権者が35%に上った。コロナ対策が最優先だと答えた支持者の2倍だ。景気が良い、または素晴らしいと答えたのは実に49%。トランプ政権のコロナ対応に対する支持率も48%に達した。

「選挙に負けても、共和党支持者やトランプ氏が新たに呼び込んだ支持層からの、トランプ氏に対する永遠の忠誠は変わらない」。こう語るのは、2016年の大統領選でトランプ氏の選挙陣営幹部を務めたサム・ナンバーグ氏だ。

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