生理前に「精神の乱れ」で苦しむ37歳女性の日常 子どもを出産した後、夫との関係に悩み続けた

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別居後も、夫は土日のうちどちらか1日だけは帰ってきた。

夫が帰ってくる日、久保さんはパートに出ることが多かった。久保さんは長男妊娠前までは正社員で働いていたが、うつ病になってしまったため辞職している。しかし、現在の仕事はパートでストレスも少なく、育児の息抜きや自己肯定感の回復につながっている。

「幸い実家が近いので、時々両親に助けてもらえましたが、コロナのせいで頼れなくなってしまいました。でも、2人とも成長するにつれてあまり体調を崩さなくなったのが救いです」

久保さんは以前、夫から「何でも生理のせいにするな」と言われたことがあり、それ以来「女を盾にしている」と思われるのが嫌で、「生理前なので配慮してほしい」と伝えることができない。「やることや、考えることが多くてパニックになりそう」ということは伝えられるようになったが、それさえも罪悪感があるという。

久保さんは精神科医から、「パニックにならないために、決められる予定は決めておき、周りの人にも協力してもらいなさい」とアドバイスされ、夫に、「来る時間や来たときにやってくれることを、前もって教えて」と伝え、夫は理解してくれた。

子どもたちは、「忘れんぼおかあさん」「鍵閉めた? 携帯は?」と笑ってくれる。イライラしてしまったときは「やることが多くて焦って、怒ってしまってごめんね」と毎回謝って仲直りをするようにしている。

現在は周期のみを記録

「生理前の症状について記録するといいといいますが、私は一時期、記録に執着してひどく疲れたので、今は日にちの記録にとどめています。『生理前でないのにイライラしてしまった!』とか、『生理前だからイライラするはず』とか思って、記録に振り回されずに済むようになりました。時間はかかりますが、一歩一歩進めていくしかないかなと思っています」

久保さんは月経前に貧血症状があり、ヘム鉄サプリを試したところ、症状が軽減。身体症状が軽減されるとメンタルも楽になるため、薬を飲み忘れることが少なくなった。

以前は自分の気持ちを言語化することが上手くできない夫だったが、カウンセリングに通い、何度も久保さんと話し合い、徐々に上達してきている。

協力してくれるパートナーの存在は、力強く、かけがえのないものだ。誰だって、病気で大切なものを失いたくない。協力してくれる人の期待に応えるためには、「PMS・PMDDに負けない」という本人の意識や努力が必要不可欠だ。

旦木 瑞穂 ライター・グラフィックデザイナー

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たんぎ みずほ / Mizuho Tangi

愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する記事の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う。主な執筆媒体は、産経新聞出版『終活読本ソナエ』、鎌倉新書『月刊「仏事」』、高齢者住宅新聞社『エルダリープレス』、インプレス「シニアガイド」など。

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