「大統領選は超接戦」を当てた世論調査の正体 「隠れトランプ」の本音を引き出す独自の手法

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保守派の有権者からリベラル派の有権者と同じくらい正確な情報を引き出すには、リベラル派よりも5倍多く電話をかける必要がある、というものだ。ほかの世論調査の専門家は、経験的にいって、こうした理論の正しさを裏付ける証拠はないという。

だがカヘリー氏にいわせれば、科学的な手法に従ってさえいれば世論を正確に読みとれると考えること自体が、上から目線で、おごっている。

「政治屋の頭を捨てろ」

カヘリー氏はアメリカの政治的分断を引き合いに出して、こう言った。最近のアメリカ人は疑い深くなっており、本音を明かすのをどれほど嫌がっているか、ある意味で自分はサイレントマジョリティ(少なくとも選挙人団の過半数)の音のしない声に音を与える役割を果たしているのだ、と。サイレントマジョリティは自分たちの考えがエリートからこき下ろされているのを知っており、そのため誰にでも本心を打ち明けるわけではない。

「リー・アトウォーター氏は周囲の人間にこうたたき込んでいた。政治屋の頭の中から出て、普通のアメリカ人の頭の中に入り込め、とね」とカヘリー氏。「平均的な人たちは何を考えているのか。それを知るために、私は平均的な人たちと話したい。世論調査のためにフォローアップの電話をかけて、30分ばかり雑談するんだ」。

カヘリー氏の仕事は同業者のほぼ全員から懐疑的な目で見られているが、自らの技法を明かす必要性は感じていないという。「(秘訣は)もう十分に教えてきた。これ以上は教えないよ」。そう話すカヘリー氏は、「お隣さんは誰を支持すると思う?」の質問を公表したことすら間違いだったと考えている。この質問を明らかにしてから、世論調査機関の中にはこれと同じ質問を使うところが出てきた。

「ほかの機関とはかなり違う調査手法を確立できたと思うし、その手法を世の中に知らしめることにも関心はない」とカヘリー氏は言う。「結果で判断してもらいたいですね」。

(執筆:Giovanni Russonello記者、Sarah Lyall記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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