「大統領選は超接戦」を当てた世論調査の正体 「隠れトランプ」の本音を引き出す独自の手法

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選挙前報道が盛り上がる中、メディアは「トランプ氏勝利」のシナリオの中身を知ろうとカヘリー氏に群がった(同氏によれば、投票日前日の11月2日、トラファルガーのウェブサイトは150万回を超えるクリック数を記録したという)。

だが、そこでは大きな疑問が渦巻いていた。ほとんどの激戦州でトランプ氏が僅差でリードするという調査結果を一貫して出し続け、おまけにデータの取得方法について、まったくといっていいほど情報を開示しようとしない人間の言うことを本当に信じていいのか、という疑問だ。

今年の大統領選挙期間の終盤に行われた世論調査で、カヘリー氏はトランプ氏がノースカロライナ州、アリゾナ州、ミシガン州、フロリダ州で2〜3ポイントの優勢を保っており、他州ではさらにリードを広げているとした。一方、主要な世論調査機関はすべて、これらの州では総じてバイデン氏がリードしており、似ても似つかない結果となっていた。今年の大統領選挙が異例の展開となる中、トラファルガーは4年前と同じく、またしても独りぼっちの状態に置かれたわけだ。

「誰もがウソをつく」という前提

カヘリー氏の独特なアプローチの中心には、「誰もがウソをつく」という前提がある。世論調査でウソをつく傾向は、保守層に顕著だという。社会科学の分野ではあらかた否定されている前提だが、カヘリー氏の確信は揺るがない。カヘリー氏の説明によれば、伝統的な世論調査機関(同氏にいわせれば「時代遅れの恐竜」)は「社会的な好ましさのバイアス」にゆがめられている。

「社会的な好ましさのバイアス」というのは、世論調査の対象となった人は自分の本当の考えではなく、相手が聞きたがっていると思う答えを口にする、というものだ。トランプ氏のアメリカでは、このバイアスは一段と強まっている、とカヘリー氏は話す。

「『自分はこういう人間だ』と口で言っているとおりの人間なんていないと思いますね」。ジョージア州アトランタ在住のカヘリー氏は、少し前に行った電話取材にこう答えた。「『社会的な好ましさのバイアス』は排除不能。小さくすることしかできない」。

このバイアスに対処するためにカヘリー氏が用いた手法は、「あなたが支持するのは誰?」という質問と、「あなたのお隣さんが支持しているのは誰だと思うか?」という質問の両方を尋ねることだった。今年は、別の手法を使ったという。

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