「大統領選は超接戦」を当てた世論調査の正体

「隠れトランプ」の本音を引き出す独自の手法

接戦州でのトランプ大統領の「善戦」を言い当てたロバート・カヘリー氏(写真:Nicole Craine/The New York Times)

トランプ大統領が選挙人団の合計数で大統領選挙に勝利した場合、「だから、そう言ったでしょう」と胸を張ることのできる世論調査の専門家が少なくとも1人、そしておそらくは1人だけ存在する。

ロバート・カヘリー氏だ。同氏の創設した世論調査会社トラファルガー・グループが今年発表した激戦州の世論調査では、ほかの調査機関がバイデン氏の安定的リードを伝える中、トランプ氏の支持率はバイデン前副大統領とかなり拮抗しており、トランプ氏がリードを保っているところが多い、としていた。

調査手法を明らかにしないトラファルガーは、あまりのうさんくささから、ほかの世論調査専門家からはまともに相手にされてこなかった。異常なアウトサイダーとして黙殺されていたわけだ。しかし、カヘリー氏は「だから、そう言ったでしょう」と次々にトランプ氏の強さを言い当ててきた実績によって、すでにその名をとどろかせるようになっている。

2016年の世論調査はほぼ完璧

トラファルガーが初めて世論調査結果を公表した2016年の大統領選挙では、番狂わせとなったトランプ氏の勝利を同社の州別世論調査が最も正確に予測していた。ベテランの共和党戦略家であるカヘリー氏は、州ごとの予測に多少のズレは見られたものの、トランプ氏とヒラリー・クリントン氏が獲得する選挙人の数まで306対227と、ピタリと言い当てた。

そのため、世論調査結果の信頼性をめぐってリベラル派が不安を募らせる中、ヤギのようなひげを生やし、蝶ネクタイをした社交的なカヘリー氏は、このところケーブルニュースで引っ張りだこになっていた。

保守派のFOXニュースに頻繁に登場したのに加えて、10月下旬にはリベラル派のCNNにも出演し、司会のマイケル・スマーコニッシュ氏を相手にトランプ氏が楽勝すると考えられる理由を開陳した。スマーコニッシュ氏からはカヘリー氏の調査に対して同業者から出ていた懐疑的な見解を次々にぶつけられたが、それでも自身の立場を守り抜いた。

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