巡査部長というのは、警視庁の階級の中では下から2番目の職位。普通の会社でいえば平社員のようなものです。そして、右京さんは、もちろん万年、中間管理職です。
「花咲舞が黙ってない」では、「相棒」同様に、平社員+中間管理職というテッパンのコンビを主役に据えていることになります。この2つの職位を足したら、会社や組織で働いている視聴者のほとんどをカバーしてしまいますね。
そして、半沢直樹と同じく、権威(支店長や金融庁)にもの申すことも忘れていません。
そのうえ、花咲舞は、「ハケンの品格」の大前春子(篠原涼子)ばりに、スーパー窓口係としての力量を発揮しますし、相棒の2人のように一話完結で事件をどんどん解決していきます。
もちろんこのドラマも銀行員の人たちにいわせれば、ファンタジーです。でも、元窓口係(現在は臨店班)の女性が、事件を解決していく様子は面白いし、相馬健(上川隆也)もきっとこの後、右京さんばりに実力を発揮することでしょう。
筆者は、こうした設定から、「花咲舞が黙ってない」は、女半沢直樹というよりは、「相棒」の銀行版だと思ってみています。
「花咲舞」で残念なのは、「この人はなぜ正義をふりかざすのか」という理由が今ひとつよくわからない点です。「相棒」のように、職業そのものが正義を追求するわけでもないし、「半沢」のように、出世をして、親を自殺に追い込んだ銀行に復讐したいというわけでもない。なので、「正義を振りかざすファンタジーキャラ」が独り歩きしている感があるのが残念で、それを最初にきっちり設定しておくと、もっと視聴者は共感できたのにと思います。
歴史ドラマやSFドラマなどと違って、リアルな「業界もの」は、なるべく多くの視聴者を取り込むために、社長は主人公にしない、平社員か中間管理職を権威と戦わせる、というのは鉄則なのかもしれません。そして、主人公が権威と戦う理由は、わかりやすく設定しておいたほうがよさそうです。
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