エルグランド大変身でもどこかもったいない訳 日産の上級ミニバン、電動化果たすのはいつか

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初代エルグランドは、1997年に誕生した。これに対してトヨタのアルファードは2002年の誕生であり、上級ミニバンでエルグランドは先行しての登場だった。1994年にミニバンという価値を日本に導入したホンダでさえ、「オデッセイ」より上級の「ラグレイト」を投入したのは1999年だ。上級ミニバンで先行したエルグランドは、たちどころに人気となる。月販1万台を超える販売を記録したといわれる。

エルグランドの機構的な特徴は、ラグレイトやアルファードが前輪駆動(FWD)のミニバンであるのに対し、後輪駆動(RWD)であり、「技術の日産」が上級ミニバンにも走行性能を求めた様子がうかがえる。

前輪駆動化で出遅れてしまった

FWDは、ミニ・クーパーに代表されるように、もともとは小型車の空間利用効率化が目的で、4ドアセダンやクーペなど含め、走行性能にこだわる車種は長年にわたりRWDを主流としてきた。

もちろん、今日では上級セダンでもFWDを用いる例があるが、やはりRWDのクルマを運転すると躍動感を覚えたり、どこか落ち着きを感じたりするものだ。後輪は、クルマの走行安定性を保持する役目があり、そこに駆動力がかかるRWDは、クルマを安定して前進させるうえで理にかなった方式と言える。

2代目のエルグランドもRWDを継承し、現在の3代目にモデルチェンジする際にFWDへ駆動方式を変えた。理由は、アルファードが急追し、なおかつ追い越していったからだ。

背景にあるのは、アルファードがミニバンの本質的価値である室内の快適性を高め、なおかつ2代目へのモデルチェンジでは、ミニバンの上級車種として高みを求めるのではなく、分野を超えた高級車を目指して開発され、とくに2列目の座席配置や空間にストレッチリムジンを思わせる広さや優雅さをもたらすことで一気にブランド力を高めたためである。

これまで大柄な4ドア高級セダンに乗ってきたような人々が天井の高い、より快適で優雅な室内空間を味わえるアルファードへ乗り換えるようになった。ここでエルグランドは一気に差をつけられたと言える。

現行モデルにあたる3代目から駆動方式をFRW(前輪駆動)に変更(写真:日産自動車)
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