エルグランド大変身でもどこかもったいない訳 日産の上級ミニバン、電動化果たすのはいつか
技術の日産としてのこだわりから後輪駆動を選択したエルグランド。走行性へのこだわりはホンダも同様だったように感じる。一世を風靡したオデッセイが3代目から車高を下げ、低重心で走りのよさを全面に打ち出した。新しいその発想に販売台数は伸びた。ところが以後のモデルチェンジで低迷し始めた。車内空間というミニバンの本質的価値が損なわれたからである。目先の珍しさは1世代で十分だった。
エルグランドも3代目からFWDとすることで、2列目以降の空間の快適さをさらに高めた。そのうえでFDWになっても操縦安定性を追求し、非常にレベルの高い上級ミニバンに仕上げたのは技術の日産らしい。しかし、すでに上級ミニバンといえば、アルファード/ヴェルファイアという強い印象が消費者に浸透していたのである。
ハイブリッド車がないという弱点も
すでに上級ミニバンといえばアルファード/ベルファイアというユーザー意識が出来上がっていた。販売台数の統計で50位にも入らないエルグランドは、この先どのように世代を重ねればいいのだろう。ヒントは、5ナンバー格ミニバン(グレードにより3ナンバー車もある)のセレナにあるように思う。
日産は、電気自動車(EV)リーフの電気駆動系を利用した、シリーズ式ハイブリッドのe-POWER(イー・パワー)を2016年にコンパクトカーのノートに搭載した。
それまで小型のハイブリッド車を持たなかった(1999年にティーノで限定100台をネット販売したことはあるが)日産車に乗り続けてきた愛好家にとって待望の一台であり、翌2017年から2019年まで、ノートはe-POWER搭載の勢いを得て3年連続でコンパクトカー売り上げナンバー1を記録した。続いてセレナにもe-POWER搭載車が追加され、これも2018~2019年に2年連続でミニバン販売台数のナンバー1となっている。
しかし、エルグランドにはハイブリッド車がない。アルファード/ヴェルファイア好調の理由の1つにハイブリッド車があるのは間違いなく、この点でもエルグランドは厳しい状況にある。ハイブリッドは、環境適合性だけでなく、走行中の静粛性にも効果的で、上級ミニバンを求めるユーザーにとって非常に魅力的なものだ。
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