携帯料金引き下げ、側近が語る菅政権の真意 坂井学・官房副長官「健全な競争環境が必要だ」
――NTTとNTTドコモの統合でドコモに値下げ余地も生まれるということですが、統合の背景に「官邸の意向」があったのではないかとの臆測もあります。
おっしゃる意味がわからない。NTTに「統合しろ」なんて考えもないし、言ってもいない。
結果として、いままでより4割ほど安い値段で20GBという大容量を利用できるプランを出していただければ、十分値下げとみなしうるし、評価できるとの思いは(政府内に)あったとは思う。ただ、政府にはどのような手段、どのような形でという意向はまったくない。
携帯料金はもっと安くできる
――2018年に菅官房長官(当時)は、「携帯料金は4割安くなる」と発言しました。背景には何があるのでしょうか。
菅総理は総務大臣の前に、テレコム系の副大臣をやっていて、その頃からずっと(携帯料金を)追いかけてきた。総務大臣の頃も「携帯料金が高い」ということを発言している。
2年前の発言は、ぽっと誰かに言われて出たものではない。あのタイミングで確信をもったので話をした。発言を聞いたとき、私は「これは本気だ」と思った。総理は誰よりも情熱をもって、(携帯市場を)健全なマーケットにしたいと思っている。
情報通信網は生活のインフラになっていて、公共財のような意味を持つ。一方で、(NTTやKDDIなどの)キャリアは、電波という国民の財産を独占してビジネスを行っている。料金はもっと安くできるのに、努力しないのはけしからんというのがまずあった。
さらに、3社が3社とも同じような利益率をあげている。構造をみていくと、キャリアと端末メーカーに「ウィンウィン」の関係がある。しかし、消費者はその関係に入っていない。(携帯)ショップでも、販売員が売りたくない売り方、勧めたくない勧め方を消費者にしているケースがある。総理にはキャリアや端末メーカーなどが消費者を向かず、のけ者にしているのはおかしいという意識がある。
民間企業がいくらの値段をつけるか、行政には強制力がない。お願いベースでこういうことが望ましいと言ってきたが、どこまで値下げしろと強制的に言うことはない。料金は適正利潤をのせて決まるし、のせてもらうのはかまわない。ただ、それが適正かどうかだ。
競争原理が働かない中で、その上乗せ(幅)が適切ではなかったりする。健全な競争環境の中で競争原理が働くのが何より大事なことで、その環境を整えることが何よりも必要だ。健全な環境で競争原理が働けば、自然に適切な値段に収斂していく。
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