オークラはなぜ今、建て替えを決めたのか 背中を押したのは東京五輪だけではなかった

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アメリカ大使館が隣接しており、港区など行政との調整にも時間がかかったものの、オリンピック前の開業にメドがたち、このタイミングでの発表になったという。建築費高騰はやむをえないが、建築労働力については大成、鹿島の威信をかけた動員力で間に合わせると見られる。

御三家では唯一、五輪前に建て替え

建て替えで勢いを取り戻せるか(撮影:風間仁一郎)

「ホテル御三家」の一角だったオークラは、1980年代には専門誌で世界2位に選ばれるほど、国際的に見てもトップクラスのホテルだった。

が、昨今では、徒歩の場合、最寄り駅から5分程度、高台に上らないといけないアクセスの不便さもあってか、帝国ホテルや外資系ラグジュアリーホテルに水をあけられていた。

客室稼働率は今年4月が80%と、周辺ホテルに比べるとかんばしくない。昨年は自社運営の中華レストランでシバエビなどの誤表示が発覚するなど、不祥事も発生している。集客に深刻なダメージはなかったものの、傷ついたイメージを回復する必要に迫られていたのは事実だ。

日本のホテルは前回の東京オリンピックに向けて新館建築や大規模改装を行ったものが多く、改装や建て替えの時期を迎えている。大手町のパレスホテルは建て替えが2012年に終了。同年に東京ステーションホテルも丸の内駅舎の復元工事が完了し、再オープンしている。

地方に目を向けると、横浜のホテルニューグランドは今夏に本館を改装予定。大阪ではリーガロイヤルホテルが本館からそう遠くない中之島の再開発プロジェクトで、高層ビルの一部に新しいラグジュアリーホテルを入居させる計画を公表している。

帝国ホテル、ニューオータニは今のところオリンピック後に改装を行う方針だ。御三家では唯一、オリンピック前のリニューアルを決断したオークラ。新ホテルへの刷新で、昔日の栄光を取り戻せるか。

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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