一方、ダニエルは妻と二人三脚で、地元トップシェアの自動車販売会社の社長を務め、2人の子どもにも恵まれて家庭も充実の勝ち組人生を歩んでいます。
唯一の悩みは、亡き師匠ミヤギの指導を受けられなくなって久しいこと。ミヤギに教え込まれた「バランスの取れた生活とは何だろう」と自問を繰り返すなか、ジョニーとの思いがけない再会によって、中年男の輝きを取り戻していく。そんなダニエル視点のストーリーも展開されていきます。
新鮮味のある『ベスト・キッド』リブート版に成功したシーズン1と比べて、続くシーズン2の評価は正直なところ分かれます。ロングランのドラマシリーズを目指してか、視点が増えます。
ダニエルの娘とジョニーの息子がよりフォーカスされ、映画『ベスト・キッド』にも出演した「コブラ会」の先生、ジョン・クリース役のマーティン・コーヴまで登場します。散漫気味の印象を受けますが、間延び感を拭うのが80年代のメタル、アリーナ・ロック曲の数々。ここぞという場面で流れ、シーズン2の完走を手助けする効果がありそうです。
YouTubeが最強コンテンツを手放した理由
YouTubeのイチオシ作品だった『コブラ会』が、Netflixに移籍しても再生回数を増やしていることも注目に値します。もともとNetflix、Amazon、Huluなどを含む複数のネット配信事業者の入札合戦を経て、YouTubeが勝ち取った経緯があるほど強力作品なのです。
ではなぜYouTubeは手放したのか。その理由はYouTubeがオリジナルドラマ製作から撤退したことが要因です。ネット配信サービスのオリジナルコンテンツはNetflix、Amazonプライム・ビデオ、そして昨年ローンチした(日本での展開は今年から)Diversity +の3強が独走するなか、オリジナルコンテンツ戦略に苦戦していたYouTubeは年間数億ドルかけていた予算を見直し、方向転換せざるをえなかったというわけです。
よって、Netflixが念願作品の『コブラ会』を手に入れることができたというのが事の経緯になります。再度Huluも手を挙げたことが報じられており、再び入札合戦が行われたようです。ティーンから中年までカバーでき、なおかつ腐りにくい最強コンテンツは加入のきっかけと継続加入につながる大きなメリットがあります。だから、各社共にこれぞというコンテンツがあったら、獲得に必死なのです。
一方、コンテンツクリエーターにとっては移籍の理由が何であれ、『コブラ会』の継続が最も重要なことだったのかもしれません。脚本と製作総指揮は独立系の製作会社Counterbalance Entertainmentを通じて、ジョシュ・ヒールド、ジョン・ハーウィッツ、ヘイデン・シュロスバーグの3人のクリエーターが担当しています。彼らが少年だった頃に出会い、憧れた『ベスト・キッド』の世界をいつか新たな形で実現したいという思いを数十年にわたって温め続け、夢がかなった企画だけにシーズン2だけで終わりにしたくはなかったはずです。
Netflixでの配信が始まると同時にシーズン3の製作が進められていることが発表され、その後、配信日も決定。2021年1月8日からNetflixオリジナルとして配信される予定です。ダニエルもジョニーも、そして演じる役者も作り手も、かつての少年たちの空手ヒーローの夢が続いていきます。
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