トヨタの成果主義拡大「6.5万人評価」の試練 新賃金制度では定昇がゼロになるケースも

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トヨタは今春の労使交渉で賃金のベースアップ(ベア)を見送った。ベアゼロは2013年春闘以来7年ぶりだ。豊田社長は「これからの競争の厳しさを考えれば、すでに高い水準にある賃金を引き上げ続けるべきではない」とする一方、「トヨタで働く人たちの雇用は何としても守り抜く。そのために、もっともっと競争力をつけなければならない」と強調した。

これに対し、トヨタ労組の西野勝義執行委員長は「あらゆる職場で競争力を強化していく」と応じ、トヨタが進める改革に協調する姿勢を示した。働きぶりを賃金に反映させてメリハリをつける今回の制度改革もその一環といえる。

では具体的に従来の評価体系と何が変わるのか。総合職にあたる「事技職」では、職能個人給の評価はA~Dまで4段階で評価を行ってきた(個別ケースとしてE評価もごくまれにある)。

 

新制度では、このD評価の扱いが変わる。係長にあたる主任職ではDを「D1」と「D2」に分ける。D1の昇給額はCの半分以下を想定し、従来のDよりも昇給が低下する。D2になると「期待を下回り、フィードバックしても改善が見られない」という評価で昇給ゼロとなる。

優秀者はより早く昇格

D1、D2で全体の10%。そのため、D2と評価された人がいなくても、昇給が従来よりも大幅に下がるD1の人は必ず出てくる。職責が重いゆえに、期待を下回るパフォーマンスだと厳しい評価が下る仕組みに変わった。

主任職以外では区分けがなくDが昇給ゼロになる。こちらはCとDで全体の60%としている点が主任職との違いだ。60%すべてをC評価にすれば、昇給ゼロのDは出てこない。これは入社してから主任職になるまでを育成期間と位置づけ、社員のモチベーション維持を図る意味合いもあるようだ。

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