トランプ感染後、断食で祈ったインド人の末路 トランプを神とあがめ、自宅に銅像もつくった
クリシュナさんのようにトランプ氏に取りつかれた人々は他国にもいる。例えばアフガニスタンでは、ある夫婦が3番目の子どもをドナルド・トランプと名づけた。子どもの父はトランプ氏を実業家としてあがめていたが、トランプ支持が原因で身の危険を感じるようになり、家族は国を去らなければならなくなった。
トランプ像をつくったのもクリシュナさんだけではない。ファーストレディーとなったメラニア夫人の故郷スロベニアでは、ある建築家が吸血鬼のような歯を生やしたトランプ氏の巨大な木像を制作し、一部から「森林資源の無駄遣い」とこき下ろされた。
像を制作した建築家のトマシュ・シュレーグル氏はロイター通信にこう語っている。「台頭するポピュリズムについて人々に警告するのが狙いだ。世界中を見回しても、ドナルド・トランプほど巨大なポピュリストはいない」。
一方、スロベニアの町セブニツァの近くに建てられたメラニア夫人の等身大の木像は放火で焼失。この像を制作した彫刻家によって、今度は木像ではなく、銅像に置き換えられた。
かなわなかった面会の夢
インドに話を戻すと、クリシュナさんはトランプ氏に何としても会いたくて思い切った行動に出ていた。村長のヴェムラ・ヴェンカット・ゴウドさんの話では、クリシュナさんはトランプ氏の今年2月のインド訪問を前にニューデリーにあるアメリカ大使館へと向かい、トランプ氏との面会を取り付けようとしたという。
「夢がかなわなかったのには、本当に心が痛む」とゴウドさん。
クリシュナさんは最後の瞬間まで、トランプ信仰を貫いた。
トランプ氏がコロナに感染したことを知ったクリシュナさんは自身の部屋にこもりっきりになった、とヴィヴェークさんは話す。「何とか食事をとらせようとしたが、ほとんど何も口にしようとしなかった」。
そして11日の日曜日、クリシュナさんは意識を失い、親族によって病院へと運ばれた。病院に到着したときには、すでに事切れていた。後には両親と7歳の息子が残された。村長によれば、クリシュナ氏が建てたトランプ氏の祠をどのように保全していくのがよいか、近隣住民によって話し合いが進められているという。
(執筆:Shalini Venugopal Bhagat記者、Mike Ives記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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