「ビジネスで必要な読解力」がない人の根本原因

名文を読んで学ぶだけでは限界がある

●悪い例2(反対している意見がすり替わっている文章)
小学校低学年のうちから学校で正式に英語を指導するべきだという意見があるが、その通りだと思う。それに反対している人がいるなど信じられない。
これから日本語だけでは世界に太刀打ちできない。英語の力をつけることが大事だ。それなのに、ほとんどの日本人は中学・高校と6年間英語を勉強するが、少しも話せるようにならない。
今では、小学校5年生から英語の勉強が始まるようだが、それでも話せるようになるとは思えない。話せるようにするには、英語の勉強をしっかりすることが大事だ。

この文章は、「小学校低学年から正式に英語を指導するべきだ」と主張し、初めに「それに反対している人がいるなど信じられない」と書いている。したがって、この人は、「小学校低学年から英語を勉強する必要はない」という意見に反対しているはずだ。

ところが、この後、単に「英語が大事」という話になってしまう。つまり、「英語は大事ではない」という人に反対しているかのような文章になっている。途中で論敵を見失ってしまって、別のことを語っているわけだ。的外れな議論をしているといってもよいだろう。

このような文章を読み取る際、「何に反対しているのか」を意識していれば、そのずれにすぐに気づく。そして、この文章のある種のごまかしに乗らずに済む。

書き手のずれを認識する

このような文章を書くのは、2つの場合が考えられる。1つは、一貫して論理を明確にできず、的外れに思考するタイプの人が書いてしまう場合だ。もう1つは、きちんとした思考力を持っている人が、論をすり替えたりごまかしたりしようとしている場合だ。

もちろん、反対する点を取り違えずに書いていれば、

「小学校のころには英語よりも、日本語の力をつけることのほうが大事だ。小学校では、日常生活の基本を教えるべきだ」

「小さいころに外国語を教えると、母語があやふやになり、日本の価値観が育たなくなる恐れがある」

「小学校で正式科目にしても、教えられる先生が少なく、むしろ良くない発音が身についてしまう」

などの反対意見を理解したうえで、

「小さいころから外国語を身につけるほうが、言葉に対して敏感になる」

「小さいころから耳で英語を覚えてこそ、使えるようになる」

といった論を展開する必要がある。

優秀な読み手であれば、本来どのようなことを書くべきだったかを想定しつつ、この書き手のずれを認識し、どのような理由で、どのような能力によってそのようになったのかを理解するのが望ましい。

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