「ビジネスで必要な読解力」がない人の根本原因 名文を読んで学ぶだけでは限界がある
毎日が苦しい。生きるのさえもつらくなる。周囲の人と同じ仕事をしている。それなのに派遣社員というだけで、給与は正社員の3分の2に満たない。それでは暮らせない。
このタイプの文章を書くのはほとんどがプロだろう。それなりに工夫が凝らされている。だから、個人的なエッセイでこのような文体で書くのはよいだろう。
だが、正確に伝えるという意味では、このような文章は失格だ。ビジネス文書にこのような文体を用いるべきではない。
誰の気持ちなのかがわからない
この文体の特徴は、書き手がほかの人の心の中に入り込んで、その気持ちを書いていることだ。
修辞学では「自由間接話法」と呼ばれ、書き手が自由に登場人物の心の中に入ったり、出たりする表現法だ。20世紀の文学作品では多用されてきた。
しかも、主語をぼかす形で書いているので、それが誰の気持ちなのかがよくわからない。書いている本人としては文学的なつもりだろうが、曖昧でぼんやりした、わかりにくい文章になる。情緒に流され、主客が明確でなく、論理的に文章を展開していない。
このような文章を読むときは、主語は誰なのか、どこからどこまでがその人の言葉なのかを整理しながら読む必要がある。
そうして補足しながら読むと、以下のようになるだろう。
派遣会社に登録して働くひろ子さん(32歳)は、毎日の生活に苦しさを感じている。勤め先で周囲の人と同じ仕事をしているのに、派遣社員というだけで給与は正社員の3分の2に満たないという。
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