日本株が米大統領選で揺れても上がる条件とは

「国の体幹」を強化する政策は長期の株価に効く

政府は2021年にも「個人のマイナンバー」と「預貯金口座」を連動させ、個人向けの給付の手続きなどをマイナンバーカードだけでできるようにする方針だ。ただ、残念ながら、口座との連動は義務化せず、個人が選択できるようにする見通しだ。例えばデンマークやエストニアでは各国民の番号(個人のマイナンバー)と預貯金口座が連動しており、こうした仕組みなら政府が対象や期間を限定してサービスができ、効率性も高く導入に値しよう。今後、日本政府がマイナンバーを口座などと連動させていく場合は、やはり万全な安全対策と国民の理解が必要になる。

「デジタル庁」早期スタートなら日本株に長期でプラス

今の行政府をパソコンやスマホに例えると、「OS(オペレーションシシテム)」は古く、アプリケーション(キャッシュレス社会=デジタル)がどんどん新しくなっているにもかかわらず、古いOS(銀行のATMで現金を入出金して記帳=アナログ)が主体なので、アプリが動かなくなっているような状態だろう。

政府が目指す次世代の政府(デジタル・ガバメント)の公務員は、今まで煩雑だった手書きの事務作業激減のメリットを受けることができる。そのため、(需要側の立場になって、)きめ細かなサービスがやっとできるようになるはずだ。一方の個人も、人識別をするために「マイナンバーカード」を導入すれば、各種サービス(銀行、証券、保険、クレジットなど)をすべてヒモ付けて(束ねて)管理しやすくなるメリットがある。

これで、やっと日本もデジタル先進国の仲間入りを果たせそうだ。政府・官僚(政官)がデジタルになると、民間の企業・国民(民)もデジタルをさらに使いやすくなる。すぐに効果は出なくても、数年後の日本株には、期待が持てる。企業の経営スピードも上がり、組織も大きく変わるからだ。ここはピンチをチャンスに変える、最後のタイミングである。

一方、直近のアメリカの株式市場は、11月3日の同国大統領選挙での民主党ジョー・バイデン候補の勝利に加え、上下両院も同党が過半数を占める「ブルーウェーブ」を織り込み始めている。バイデン氏は、法人税増税や富裕層への課税を政策として掲げているため、当初は株式市場にとって同政策は悪影響だとみられていた。だが逆に「財政が出動、大規模景気対策でカバーする」「GAFA規制などは実施されない」「選挙後の郵便投票不正などの法廷闘争は懸念されているほどは長引かない」など、虫のよい株価上昇への期待感が広がっているのは気がかりだ。

債券マーケットも、バイデン氏勝利で大規模経済対策が実施される(大きな政府になる)可能性を織り込み始めた。大統領候補の第1回テレビ討論会の開催(9月29日)後、米10年国債の利回りは上昇し始めている。

10月15日のテレビ討論会は、ドナルド・トランプ大統領のコロナ感染(10月5日退院)を踏まえ、実行委員会の判断で異例の中止となったため、今のところ10月22日のテレビ討論会が最後の直接対決になりそうだ。同国の有力政治ニュース&世論調査データサイトであるリアルクリアポリティクスの集計では、バイデン氏が優勢だ。

だが、どちらの候補が勝つかは郵便投票の問題もあり、少なくとも11月3日の時点ではわからない可能性も高い。日本政府はどのような選挙結果になっても、臨機応変に対応できるように準備をしているはずだが、日本株市場は、アメリカの株式市場の動向に大きく左右されそうだ。やはり11月3日前後からの株価下落リスクに注意が必要だ。

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