中国「CO2排出実質ゼロ」宣言、実現すれば画期的

気温上昇を0.3度抑制、産業競争力も強化される

一方、バイデン氏は中国に対し、一帯一路イニシアティブでアジアの化石燃料プロジェクトに数十億ドルを費やしていると厳しく批判。石炭火力発電プロジェクトの輸出支援を廃止し、アジアやアフリカなどの途上国にCO2を大量に排出する産業を移転させることをやめるよう要求している。

同時に民主党政策綱領では、気候変動問題への取り組みにおいて中国との間に相互利益があり、両国の協力を追求するべきとしている。バイデン大統領が誕生し、アメリカがパリ協定に復帰した場合、EUとはもちろんのこと、中国とも温暖化対策分野で再び協調が進む可能性がある。

日本は脱炭素化の目標年限を示さず

翻って日本はどうか。脱炭素化の方針は掲げたものの、政府の「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」において、「21世紀後半のできるだけ早い時期に脱炭素化を実現する」と述べているだけで、具体的な年限を示していない。

パリ協定に提出した2030年の削減目標についても、国連の度重なる要請にもかかわらず、著しく低いと評価される現行目標を引き上げることもなく2020年3月に再提出した。

一方、国内においては、長らく国際的な批判を浴びてきた石炭火力発電プロジェクトの輸出支援方針を転換し、「原則として支援しない」こととし、非効率な国内の石炭火力発電所については段階的に削減させる方針を明らかにした。

しかし、これは高効率の石炭火力発電設備は今後も継続して使用することを意味しており、世界の石炭脱却の方向性と逆行している。また、コロナ禍からの経済復興策においても、持続可能な脱炭素社会への移行を促す要素はほとんど見られない。

安倍政権下では「経済と環境の好循環」が提唱されてきたが、環境規制は経済成長の制約要因として扱われ、CO2削減の取り組みは十分に進展しなかった。しかし今やESG投資が世界中に広がり、環境対応が国や企業の競争力の源泉になっている。

ヨーロッパや中国は、パリ協定の取り組みを通じて脱炭素社会の主導権を握ろうとしている。ESG投資の潮流が世界的に強まる中、日本が産業競争力を維持・向上していくには、環境重視の政策へ移行していく必要がある。

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