神戸の小学校PTA「上部団体離反」に見えた綻び コロナで旧態依然の仕組みにメスが入り始めた

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「神戸市PTA安全教育振興会」が関係者に求めた4500万円の支出に対する賛否の回答書

この資金は、安全教育振興会が補償などで使った余りの資金を積み立てた「災害準備積立金」の約7000万円から出すという。提案には「『各クラスに非接触赤外線電子体温計』を配布できないかと考えています。ただ現状欠品していますので品物が届き次第の配布になります」と書かれているが、具体的な商品名やどういう性能や形のものを買うかも書かれていない。支出についても「約1万円×約4500クラス=約4500万円」と示すだけで、「賛成する」か「賛成しない」かに丸をつけて10日以内に回答するよう求めた。

多額の支出に対する情報量の少なさに反発した関係者は多かったという。同制度は協議会に加入するPTAの9万世帯余りに1世帯当たり年100円の「負担金」を求めて運営されてきた。

余剰金が積もり積もって約7000万円に

2019年度は900万円余りを集めたが、スポーツ大会での骨折や肉離れなどで支払われた見舞金は25件の計約81万円。多額の補償に備える団体傷害保険などの保険料が約299万円だった。人件費などの「総務管理費」で約164万円を使ったほか、「協力金」などの名目の「活動費」で約96万円を支出した。このような支出の結果、年間約200万円が余るが、こうした余剰金が積もり積もって7000万円ほどになったというわけだ。

実は、2019年度には、傘下の各連合会に約82万円の「助成」もした。予算は約202万円だったが、小学校PTA連合会は振り込まれた約120万円を返納した。これは1世帯当たり22円で算出されたもので、事実上集めすぎた負担金の一部を還元するものだが、これを各PTAが会員に戻すことは現実的ではないためだ。同協議会の「最大派閥」といえる小学校PTAの「反乱」といってもいいだろう。こうした批判もあり、2020年度の負担金は1世帯当たり20円値下げして80円で予算が組まれた。

こうした議論を呼んだ体温計提案だったが、市協議会は取材に「原案として賛成かどうかを確認しようとしたもので、議決を求めるものではありません」と答えた。

さらに、2学期が始まって間もなくの8月24日、協議会は、実際に集まっての「理事会総会」を9月3日に開くと、傘下のPTA連合会に知らせた。ただ、この時点で小学校PTA連合会は2020年度の役員を決められていなかった。中高生らに比べて手がかかる小学生が家にいる時間が長く、PTA活動どころではなかったという。区の連合会の総会が終わっていないところが残っていて、市の連合会の総会が開けない状態だったのだ。

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