「田舎の親の空き家」をお荷物にしない再生術 放置すれば「強制撤去」で高額費用請求の恐怖
家を売却したり建て直したりしたいけど、できない──というケースもよくあります。実際、筆者のご相談者にも「親所有の不動産ですが、建築基準法の改正で再建築ができなくなりました」という方がいます。そのような場合に、注目されているのがリフォームです。
リフォーム技術は進化しており、コストを抑えながらでも見違えるような家に変身することもあります。リフォームは経験がものをいいます。前出の菊池社長は数多くのリフォーム再生を手がけていますが、筆者がリフォーム前後の写真を拝見すると、驚愕するほど見違えてしまいました。
空き家の再生が注目されている背景にはコロナ禍の影響もあります。今年春以降、在宅勤務する人が急増しましたが、そのために家族の空間が密になっています。それが裏目になって、亀裂が入った夫婦、家族も少なくありません。実際、コロナ離婚問題は急増し、夫婦問題業界は相談が増加しているのです。
また、小さな子どもが家にずっといたりすると、とくに都心部のマンションなどでは「騒音問題」が起きています。マンションの音は、構造上、上下左右に直接伝わるわけではないようで、「お宅はうるさい」「うちには小さな子どもはいない」という争いや、「隣の人が室内で健康器具を使っているようで、その音で悩まされている」という話も聞きます。それが引き金となって郊外や地方へ引っ越しを希望するケースが急増しているそうです。
さらに、住宅ローン問題も背景にあります。若い夫婦だけでなく、コロナ渦で先行きが不透明などという理由で中小企業に勤める方のローン審査が厳しくなっています。ペアローンでは、子育てで時短勤務になる妻の査定も厳しく、泣く泣く住宅購入を諦めるケースも出てきています。そのような場合、親世代の空き家がもしあれば、再生活用することを考えてはどうでしょうか。
「サーファーの家」に再生された「ゴミ屋敷」
空き家の中にはゴミ屋敷のような物件も少なくないといいます。菊池社長はそうした物件の再生にも対応していますが、この手の不動産は物件価格が低く、手数料も安いために業者からは嫌われており、実際、「ほかのところでは対応してくれなかった」と顧客から感謝されることが多いそうです。場合によっては、菊池社長が自分で買い取り、賃貸業をするケースもあるとのこと。ゴミ屋敷のような家でも、「これは再生できる」と勘が働く物件もあるそうなのです。
千葉の海に近い物件は、再生後、サーファーたちが休日利用の家として借りているといいます。以前、「古民家シェアハウス」をテーマに「月2万で古民家シェアを実現した夫婦の家計簿」というコラムを書きましたが、今の時代、余暇を楽しむために地方にセカンドハウスを借りる需要もあると思います。
実は菊池社長には、お子さんが5人います。前の奥様との間のお子さんが1人、今の奥様のお子さんが2人。そして、今の奥様との間のお子さんが2人。菊池社長の家族はステップファミリー(子連れ再婚夫婦)です。大家族の菊池一家が住む自宅も「空き家再生」した大きな家。ステップファミリーには大きな家が適しているかもしれません。近所には、地域の子どもや高齢者たちが集える、コミュニティハウスも建設中とか。なんて素晴らしいことでしょう。広がってほしい事業です。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら