「田舎の親の空き家」をお荷物にしない再生術 放置すれば「強制撤去」で高額費用請求の恐怖
では、もし親名義の家を処分することもできず、空き家になってしまったら、何か解決の糸口はないものでしょうか。
キーワードは「空家対策特別措置法」の本来の目的でもある「活用」です。都心部のマンションでは、中古物件を新築同様に再生させるリノベーションが流行しています。でも、都心部から離れた場所や地方にある空き家の戸建て住宅を、リノベーションすることなどできるのでしょうか?
そこで今、全国から問い合わせが急増している専門家がいます。空き家再生専門の不動産会社「オハナホーム」の菊池聖雄社長は、関東を中心に空き家の再生や相続の相談などを行っていますが、全国の相続診断士から問い合わせが殺到しているといいます。
具体的に、菊池社長は、空き家の何をどうするのでしょうか。
まず、空き家の問題の「原点」は、自宅不動産以前に家の中にある荷物です。物を大切にする(断捨離できない)親世代がため込んだ荷物の量に頭を抱える──というケースが多くあります。
オハナホームでは、荷物の処分から手をつけるそうです。親世代は不要な荷物を大事に持ち続けているのに、権利書や契約書、購入時の領収書といった重要書類をなくしているケースもあります。これらは探し出す努力をします。大量の荷物を整理している途中で見つかる、そんなことがよくあるそうですが、これらの書類があるか否かで、不動産処分をする場合の税コストが大きく変わってきます。
不動産購入費が不明の場合、譲渡税が増えることも
例えば、不動産を購入したときの金額がまったくわからず、契約書や領収書も見つからない場合は「概算取得費」という仕組みが売買する際に適用されます。購入費が不明なので「売却時の5%を購入金額として計算する」というルールです。500万円で不動産を売却した場合、5%の25万円が取得費で、475万円が売却益となり、譲渡税は475万円に課税されることになります。課税される割合には2種類あります。
売却した年の1月1日現在で、所有期間が5年以上⇒20%
(475万円の場合は95万円)
② 短期譲渡税の税率
所有期間が5年以下⇒39%
(475万円の場合は約185万円)
実際には譲渡益が出ていなくても、証明する書類がないと、このように課税されてしまうのです。
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