自宅で取材なんて不可能と思う人の大きな誤解 アメリカの調査報道はコロナ禍で激変した
自宅からできる新しい調査報道
この「国際会議」は、調査報道記者・編集者協会(IRE:Investigative Reporters & Editors)が主催している。IREは調査報道記者のネットワークとしては世界最大規模で、年間を通じて、最新の取材方法を学び合う会議やワークショップを開催している。オンラインのみとなった今年の国際会議には約3000人が参加。このうち日本人は筆者を含め、5人程度だったようだ。
今年の大きなテーマは「新型コロナウイルス」「大統領選挙と資金問題」「人種差別と警察の暴力」である。
会議初日、特設サイトにアクセスすると、バーチャル会議場が広がっていた。1時間ごとに10件ほどの新しい会議室が現れ、各部屋ではオンデマンドの講演が行われている。ほとんどの講演で、講師とチャットで会話ができ、タイムリーな質疑応答も可能だ。
講師陣はニューヨーク・タイムズやCNNといった大手メディアの記者たち、「プロパブリカ」「リビール」といった非営利の独立メディアで活動する記者たちだ。彼らは以下のような事柄をそろって口にした。
「新型コロナの影響で、自分たちも現場取材に出られなくなり、この半年間は自宅で仕事をしています。でも、自宅でも調査報道はできる。それがわかったんです。むしろ、自宅で行う取材の手法や可能性はコロナ禍で広がっています」
彼らも取材スタイルの変更を余儀なくされているのに、表情は暗くない。では、「自宅でできる調査報道」とは、いったいどんなものだろうか。しかも、プロフェッショナルなジャーナリストではなく、一般市民でも可能だという。
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