自宅で取材なんて不可能と思う人の大きな誤解

アメリカの調査報道はコロナ禍で激変した

NBC4テレビのジョーディ・フレイシャー記者(撮影:大矢英代)
「このままでは失業するかも」「今後どう生活していけばいいのか、出口が見えない」――。コロナ禍で仕事や生活が激変し、困窮する人たちの声が溢れている。私事で恐縮だが、アメリカ・カリフォルニア州を拠点に取材を続ける筆者の仕事も途絶えがちだ。
「権力の不正を暴き、社会的弱者の権利を守るためにある」とされる調査報道の仕事は、コロナ禍でどうなっているのか。この先、どうなるのか。9月下旬、オンラインで開催された「調査報道国際会議」に参加し、コロナ後の世界と報道・メディアの関係を考えた。

自宅からできる新しい調査報道

この「国際会議」は、調査報道記者・編集者協会(IRE:Investigative Reporters & Editors)が主催している。IREは調査報道記者のネットワークとしては世界最大規模で、年間を通じて、最新の取材方法を学び合う会議やワークショップを開催している。オンラインのみとなった今年の国際会議には約3000人が参加。このうち日本人は筆者を含め、5人程度だったようだ。

今年の大きなテーマは「新型コロナウイルス」「大統領選挙と資金問題」「人種差別と警察の暴力」である。

会議初日、特設サイトにアクセスすると、バーチャル会議場が広がっていた。1時間ごとに10件ほどの新しい会議室が現れ、各部屋ではオンデマンドの講演が行われている。ほとんどの講演で、講師とチャットで会話ができ、タイムリーな質疑応答も可能だ。

IREオンライン国際会議のプラットフォーム

講師陣はニューヨーク・タイムズやCNNといった大手メディアの記者たち、「プロパブリカ」「リビール」といった非営利の独立メディアで活動する記者たちだ。彼らは以下のような事柄をそろって口にした。

「新型コロナの影響で、自分たちも現場取材に出られなくなり、この半年間は自宅で仕事をしています。でも、自宅でも調査報道はできる。それがわかったんです。むしろ、自宅で行う取材の手法や可能性はコロナ禍で広がっています」

彼らも取材スタイルの変更を余儀なくされているのに、表情は暗くない。では、「自宅でできる調査報道」とは、いったいどんなものだろうか。しかも、プロフェッショナルなジャーナリストではなく、一般市民でも可能だという。

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