学校の先生を「味方にする親」の絶妙な"言い方" リクエストとクレームの違いがわかりますか?

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ちなみに、教師である筆者の側から見ると、クレームをつける家庭には大きく2つの特徴があると感じます。

ひとつは、教育熱心で高学歴、高収入な家庭の学校へのクレームです。教師の教科指導や授業レベル、子どもの成績に関するクレームが中心です。

もうひとつは、子どもの教育にあまり関心をもたない保護者のクレームです。

「記念撮影でうちの子の写真の映りが悪い」「宿題を忘れたくらいで子どもを叱るなんて」「校庭の木が邪魔だから切ってほしい」といったものです。

いろんな理由があると思いますが、教師にクレームばかりつけていると、めぐりめぐって保護者や子どもに“損”が返ってきます。

「あの保護者の言うことは大げさだから、話半分に割り引いて聞こう」

「あの子どもに関わると、背景にはあの親がいるのか……」

そんなふうに教師に思わせて、意欲をそいでしまうと、教師がその保護者の子どもと関わることに苦手意識をもつようになるのは想像にかたくないでしょう。

子どもを育てる大人にとって最も大切なこと

最後に、親、教師、保育士など子どもを育てる役割にある私たち大人にとって、共通して、大事なことをお話ししたいと思います。

それは、「自分の気持ちを安定させること」です。

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とくに思春期の子どもは気持ちが揺れやすく、学業や友人関係など多くのストレスを抱えています。親がイライラしたり、大きな声で怒鳴り続けていると、子どもは余計、不安になります。子どもを受け止めるためには、親自身が心にスペース(ゆとり)を確保しておくことです。

もしも子どもと意見が対立したときは、まずは親のほうから1歩引いてください。親のほうが「大人になって」1歩引くのです。

親が「1歩引く」だけで、子どもが言うことを聞きやすくなります。それは教師と保護者の関係でも同じことがいえます。お互いに1歩引いて、よりよい協力関係につながることを願っています。

諸富 祥彦 心理カウンセラー
もろとみ よしひこ / Yoshihiko Morotomi

1963年福岡県生まれ。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。イギリス・イーストアングリア大学、アメリカ・トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授(11年)を経て、現在、明治大学文学部教授。教育学博士。時代の精神(ニヒリズム)と「格闘する思想家・心理療法家」(心理カウンセラー)。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会理事、日本産業カウンセリング学会理事、日本生徒指導学会理事。教師を支える会代表、現場教師の作戦参謀。臨床心理士、上級教育カウンセラー、学会認定カウンセラーなどの資格を持つ。

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