ユーロの信認を揺さぶるギリシャ危機の行方



 その域内格差という構造問題がもはや放置できなくなっている。ギリシャは深刻な「双子(財政・貿易)の赤字」状態で、財政赤字の埋め合わせを外国資本に頼らざるをえない。金利高騰から景気と財政はスパイラル的悪化に陥りつつあり、4~5月の大量国債償還を控えてデフォルト(債務不履行)懸念が高まっている。加盟国がデフォルトとなれば、ユーロの信認失墜は必至だ。

今年1月15日、ギリシャ政府は公務員手当や年金関連支出の1割削減、各種課税強化による税収増などを通じ、財政赤字の対GDP比を10年に8・7%、12年に2・8%まで圧縮する財政再建計画をEU(欧州連合)の欧州委員会に提出。EUは2月16日に財務相理事会を開き、1カ月後に赤字削減の具体策を再評価する条件付きで承認した。自助努力を前提に、ギリシャが償還資金調達に失敗した場合、資金繰りを支援する方針も表明している。

が、市場の疑念は晴れない。「再建計画は順調な景気回復が前提にあり、税収増に頼っている。税率を上げた分だけ税収が増える算段だが、現実味は乏しい」(高橋祥夫・バークレイズ・キャピタル証券チーフ外債ストラテジスト)。国債金利は高止まりしたまま。ギリシャ国内では、公務員労組が大規模ストを行うなど再建策の実施は茨の道だ。

そもそもEUには、こうした財政危機国を支援する制度上の枠組みがない。非ユーロ圏の英国などはEUの支援に消極的で、IMF(国際通貨基金)を使うべきと主張。一方、ユーロ圏主要国は、IMF管理はいわば主権の明け渡しとして否定的だ。要するに、EU内の利害が対立し、足並みがそろっていない。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • カラダとおカネのよもやま話
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。