ユーロの信認を揺さぶるギリシャ危機の行方



 現状、国債のスプレッドは0・8%(ギリシャ国債は3・2%)程度だが、楽観はできない。住宅バブル崩壊で、建設業の非正社員中心に失業率が約20%まで上昇。若年労働者に限れば40%超だ。不動産業界の不良資産を州立銀行などの金融機関が簿価で買い取ったため、住宅価格の調整や不良債権処理が遅れているとも指摘され、不透明感は強い。

さらに非ユーロ圏の英国への波及も警戒される。「経済の柱である金融業が大きな痛手を受け、規制強化に舵を切らざるをえない状況。税収も金融業への依存度が高く、国家経済の基盤が沈下しつつある」(伊藤氏)。つまり欧州では、「92年通貨危機のような状況に陥るリスクが今後もくすぶり続ける」(高橋氏)。

グローバル経済の今、影響は金融市場や貿易取引などを通じ日本へも及ぶ。しかも、日本は「国債残高では金メダル級」(菅直人財務相)。経常黒字と国内貯蓄が縮小を続ければ、いずれ国債暴落の悪夢が現実のものとなる。小国ギリシャの危機は決して対岸の火事ではない。

(中村稔 =週刊東洋経済2010年2月27日号)
image:LA2 reative Commons ShareAlike 1.0

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 内田衛の日々是投資
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • iPhoneの裏技
  • 埼玉のナゾ
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。