島耕作が「人と群れる生き方」避けた納得の理由 「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」

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ここ数年、高齢者の「孤独」を前向きにとらえる本が何冊もヒットしました。ひとり暮らしや孤独でいることを堂々と楽しもうという趣旨の本がほとんどです。

高齢化社会となって「孤独死」や「独居老人」といった言葉が社会問題としてクローズアップされ、高齢者のひとり暮らしは心配だという風潮が強くなりました。そんな流れの中、同居人に気を使うことなく、ひとりで自由に人生を楽しみたいという高齢者たちも一定数いて、そういう人たちが支持したのだと思います。

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今、女性は男性より6歳くらい平均寿命が長いので、70代、80代は女性が圧倒的に多いのですが、夫に先立たれてひとりになった女性が、自由気ままなひとり暮らしを楽しんで人生を謳歌するケースが増えたんですね。

もちろん長年連れ添った夫が亡くなった時にはショックを受けて落ち込むのでしょうけども、気持ちが落ち着けば、解放された喜びと時間を自由にしていられる安堵感が湧いて、家族に一緒に住もうと言われてもひとり暮らしを望む女性も多いわけです。

高齢者のひとり暮らしでは孤独死が怖いと言われますが、それは発見が遅れることに問題があるのですから、毎日1回連絡をとる人がいれば、ひとり暮らしでいい。スマートフォン一つあれば、顔色だって確認し合える時代です。

一方、男性はひとりになると弱くなるケースが多いんですね。70代、80代で妻に先立たれた男性は、3年以内に7割が亡くなるといいます。

「孤立」を避け、「孤独」に生きる

「孤独」と「孤立」は違います。

家族や地域社会、組織などで孤立してしまうことは、人生をつまらないものにするので絶対に避けなければいけませんが、60代以降の人生ではいつひとりになるかわからないのですから、孤独に慣れておいたほうがいい。

孤独というと、寂しいイメージがつきまといますが、そんなことはありません。どんなことでもひとりで楽しめる人の人生は豊かです。僕はそれを「孤独力」と呼んでいます。孤独は楽しめるのです。

やっぱり人間、生まれる時も死ぬ時もひとりなのですから、孤独を楽しめる人のほうが幸せだと思います。

弘兼 憲史 漫画家

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ひろかね けんし

山口県出身。早稲田大学法学部卒。松下電器産業(現パナソニック)勤務を経たのち、1974年に漫画家としてデビュー。現在、『島耕作』シリーズ(講談社)、『黄昏流星群』(小学館)を連載するほか、ラジオのパーソナリティとしても活躍中。

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