都内タクシー狙う「令和の当たり屋」卑劣な手口 銀座、六本木で相次ぐ関西弁恫喝男による被害

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ドライバーと当たり屋のやり取りを後ろで確認していたのが、冒頭の山田さんだ。自身も1年前に新橋で同様の当たり屋詐欺によって3万円を支払った人物でもある。

後輩ドライバーが延々と外で話し込む様子を見ていると、自分が金を払わされた人物と特徴が類似していた。大野さんが車に戻ろうとしたとき、急いで制止した。山田さんはこう回顧する。

「交差点で車と車の間に入ってくるような運転があまりに不自然でした。それで注視していたら、後輩と話し合う男が、僕がやられた人物とそっくりなんです。それで、『こいつは当たり屋だから金を払う必要はない。警察を呼ぼう』と言って私も出ていきました」

大野さんが被害にあった六本木4丁目の交差点(写真:筆者撮影)

すると、男は「こちらもそんな大きなケガではないし、急いでいるので」と述べ、逃げるようにその場を離れていったという。

タクシードライバーにとって過失事故はタブーとされている。それが人身事故であろうものなら、一発で免許停止ということもありえるからだ。物損であれ、自費負担を強いられることも多い。

さらに営業所へのクレームや、ドライバーが最も恐れる「タクシーセンター」に連絡がいこうものなら、仮に過失がなくとも数日間の業務停止に至る可能性もある。

それだけに軽い人身事故であれば、過失の裁量がハッキリしなくとも金銭で解決してしまおう、というのが大抵のドライバー心理というわけだ。そこにつけ込んだ当たり屋の行動は非常に悪質であり、計画的であるといえる。

どんな場所で被害が出ているのか

ほかのドライバーたちの話をまとめると、同様の事案が起きた場所は、最も多いのが銀座、次いで六本木、麻布十番、八重洲、新橋、祝田橋、兜町といった都内の中心地である。昨年3月に祝田橋交差点で被害にあったドライバーが、その実態を語る。

「3、4年前にも新宿や大久保辺りで当たり屋集団による被害が相次いだ時期があったんです。ただ近年ではほとんど聞かなくなり、令和の時代にこんな古典的な詐欺行為を行う輩がいるなんて、ドライバーも思ってないわけです。

場所も銀座や丸の内、東京駅周辺や新橋と、サラリーマンが多い場所ですから。だからこそ、コロッと騙されてしまったというのもあります。

私は怪しいと思い、支払った額は、財布に入っていた3000円だけでした。腑に落ちないと思っていたら、1カ月後に同僚から『当たり屋に遭遇した』と連絡があったんです」

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