『ルポ 貧困大国アメリカII』を書いた堤未果氏(ジャーナリスト)に聞く

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--医療でも癒着があると。

医療改革するなら、中間業者の保険業界を何とかしなければいけない。ところが、その業界から献金をもらっている。いわば「医産複合体」とさえいえる。どんな公約を掲げても見返りは求められる。それと、どう折り合いをつけるか。

日本ではピンとこないかもしれないが、何百億円のおカネが動く。オバマ大統領が集めたおカネは750億円。そのうち4分の3が業界から出ている。となれば圧力もかかる。オバマ大統領を日本で絶賛する向きがあるが、それはあくまで人柄、選挙での魅力、あるいは公約。公約は実行するのに予算がいる。

--「複合体」はほかにも。

「テロとの戦い」で警備産業。株価が上がっている業界を見るとよくわかる。その儲かる理由が。最近は空港警備の厳重化だった。

経済全体では、その噴出した欠陥の一つが戦争がらみだ。「経済が先にある」と、アメリカを見ているとつくづく感じる。

新聞も政治欄、社会欄ではわからない。経済欄を見るとわかる。戦死者は政治欄に該当者のすべてが出ていない。戦地に出向いた派遣会社の社員がかなりの数を占めるからだ。一方、派遣会社の株は上がっている。なぜか。戦地に人を出していて、政治に圧力をかけることができるとみられている。実際、かなり献金していたり、天下っていたり、関係ができている。

また刑務所の民営化で「刑務所リート(不動産投信)」というものもある。金融商品の開発に悪魔のように頭のいい人がいる。この投信はノーリスク・ハイリターンといわれ、大人気だ。刑務所リート、ホームレス、社会保障削減、中流の貧困化、それにある種の大企業の株価が上がること、それが実はつながっている。

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