CCCの動きは速い。同記事によると、昨年10月末には、東京・恵比寿ガーデンプレイス内にたった30平方メートルの店舗を導入した。店内に商品を陳列せずに、店頭にあるタッチパネルで商品を選択し、レジで支払いをして受け取る仕組みだ。
商品を棚に戻す手間をはぶき、より少人数で回せるオペレーションにする。固定費削減。作品が返却されているのに棚に陳列されておらず借りられないという事態も解消できる。無駄がない。店舗あたりの収益性は向上する。棚を回って観たいDVDを探せるというユーザビリティ-は落ちるものの、すぐにそれを補完するサービスが出てくるはずだ。
今回の自動レンタル機も究極の固定費削減だろう。DVDを入れ替えるだけの人件費。店舗面積わずか1平方メートル。先に上げたコンビニエンスストア以外にも、駅構内、オフィスビル、書店など生活導線のあらゆるところに開設できる。
業界2位のゲオも、全く同様のサービス「GEO BOX」を始めている。早くも過熱しそうな予感のする「DVD100円自動レンタル機ビジネス」だが、ビジネスモデルは極めて合理的で正論。商売の基本に則っている。
モノが売れない時こそ、商売の基本を見直して「売れる所」で「売れるしくみ」を働かしていく工夫が必要なのである。今後はDVD作品が、テレビやパソコン、携帯へネット配信される動きも加速することが予想される。それに対抗する、ユーザーへの圧倒的なコンビニエンスを提供するために、数年後にはATMなみに、自動レンタル機が配備されているかもしれない。レンタルビジネスの生態系の進化は思ったより速そうだ。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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