最高裁判事指名でトランプ大統領「終了」の危機

これでアメリカの景気回復の遅れは決定的に?

新たに最高裁判事として指名を受けた、シカゴ連邦高等裁判所判事のバレット氏。大統領選に向けて強力なカードを切ったつもりが、トランプ大統領は敗北の引き金をひいた可能性もある(写真:AP/アフロ)

アメリカに激震が走りつつある。発端は9月18日に、ルース・ベイダー・ギンズバーグ米連邦最高裁判所判事が死去したことだ。彼女はニューヨークのブルックリン生まれ。「RBG」の愛称で知られ、1993年にビル・クリントン大統領(当時)の指名を受け、アメリカで2番目の女性判事となっただけでなく、リベラル派判事の代表的な存在として、アメリカ社会全体に非常に大きな影響力を誇っていた。

同国の連邦最高裁は現在9名の判事によって構成されており、その構成によって妊娠中絶や銃規制など重大な憲法判断が揺れ動くこともあるため、国民の注目度は非常に高い。上院の承認が必要だが一度指名されれば、自らが引退を申し出るか死亡する以外では「終身」(弾劾裁判を除く)となる。したがってリベラル派、保守派に分かれる判事の構成は、時の大統領や議会以上に国の方針に大きな影響を及ぼすと指摘する向きもある。

共和党は「自らの4年前の出張」を反故に?

そして今回、11月3日の大統領選まであとわずかというタイミングで彼女が死亡したことは、アメリカの政治はもちろん新型コロナウイルスによる大幅な落ち込みからの回復途上にある同国経済にとって、大きな影響を及ぼす事件となりそうだ。

ドナルド・トランプ大統領はさっそく、後任判事の選定に取り掛かり、9月26日にはシカゴ連邦高等裁判所判事のエイミー・バレット氏を指名した。バレット氏は敬虔なカトリック教徒であり、彼女を指名することによって中西部などのカトリック票を取り込むことができ、大統領選で有利に働くと見られている。

野党の民主党は当然ながら、この動きに猛烈に反発している。直近では2016年3月、当時のバラク・オバマ大統領が保守派のアントニン・スカリア判事の死亡を受けてメリック・ガーランド氏を指名した際、当時上院で多数を占めていた共和党が強力に反対した経緯があるからだ。

最高裁判事の指名には上院での承認が必要だが、このとき、共和党は次の大統領選まで1年を切るなかで「後任判事は新しい大統領が指名するべきだ」との理由から、承認のための公聴会の開催を拒否。オバマ大統領は最終的に指名を断念した経緯がある。

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