「カローラ」発売1年、順調でも微妙な通信簿 販売2位を成功と見るか、足りないと見るか
現行のカローラが登場する前の2017年、トヨタはカローラ生誕50周年記念イベントとして「カローラ花冠プロジェクト」を実施した。全国各地のカローラの販売店を巡るという大きなイベントで、ゴールはカローラの生産工場である宮城大衡工場であった。
取材に訪れた筆者がそこで目にしたのは、「過去50年と同様に、これからの50年間も、まだまだカローラをたくさん売っていこう」という意気軒高な販売会社の面々であった。
2017年のカローラの販売は年間8万台を切っており、販売ランキングは12位にまで落ちていた。当時のカローラのオーナーの平均年齢は70歳に近い60代。このままフェードアウトしそうなほど、カローラを取り巻く状況には勢いが感じられなかった。
このままディスコンになるのかもしれないと思っていた筆者は、カローラの存続と繁栄も未来永劫に続けていこうという販売会社の姿に、非常に驚かされたのだ。
最新カローラに求められたミッション
未来永劫にカローラを売っていきたいのであれば、新型カローラに求められるミッションは明確だ。「若いユーザーを獲得」して、そのうえで、「数多く売ること」だ。そのため、まずトヨタは2018年6月に、若者向けのハッチバックである「カローラスポーツ」を投入する。
カローラは、過去にハッチバックをはじめクーペなど、数多くのボディバリエーションをそろえていた。しかし、近年のカローラは高齢化するユーザーに向けて、ボディ形状をセダン(カローラアクシオ)とステーションワゴン(カローラフィールダー)の2つに絞り、さらにボディの拡大も抑えていた。
日本以外で販売するカローラは、世界基準に合わせて大型化していったが、日本だけに高齢ユーザーに向けた小さなカローラが作られて販売されていたのだ。
そうした中、ハッチバックの新型モデルは「カローラスポーツ」と名付けられ、20~30代をターゲットにすると宣言された。そして、その1年後となる2019年9月に、セダンとステーションワゴン(カローラツーリング)の新型モデルが登場する。それが12世代目となる現行カローラだ。
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