「カローラ」発売1年、順調でも微妙な通信簿 販売2位を成功と見るか、足りないと見るか

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新型の特徴は、「プリウス」などと同じTNGA世代のプラットフォームを採用し、車格が高められた。ボディは拡幅され3ナンバーとなり、ディスプレイオーディオやスマートフォンとの連携機能などを採用。どう見ても、70歳に近づこうという従来の高齢オーナーではなく、若い人に向けての内容となっていたのだ。

しかし、旧来のユーザーを見捨てていないのも、さすがトヨタだ。なんと、5ナンバーの旧型モデルも併売の形で残したのだ。

併売されるカローラアクシオ(写真:トヨタ自動車)

旧型のまま販売される5ナンバーサイズのカローラアクシオとカローラフィールダーは、高齢ユーザーだけでなく、社用車としてのニーズにも対応するという。

つまり、現在のカローラはハッチバックの「カローラスポーツ」、新型セダンの「カローラ」、新型ステーションワゴンの「カローラツーリング」、旧型セダンの「カローラアクシオ」、旧型ステーションワゴンの「カローラフィールダー」という5車種からなる「カローラシリーズ」となった。

限りなく1位に肉薄した販売台数

では、新型カローラの実際の販売はどうなったのか。それは、乗用車ブランド通称名別順位の推移を見れば明らかだ。カローラスポーツの発売の前年となる2017年は年の前半には13位であり、通年では12位。往年を知るカローラファンであれば、残念至極のポジションだ。

ところが、カローラスポーツを投入した後となる2018年の通年は、8位にアップ。翌2019年前半は、さらに順位を上げて6位に。そして、セダンとステーションワゴンの新型を投入した後の2019年の通年は4位に。2020年に入ると、1~6月の前半戦で2位にまでポジションアップしている。

ちなみに1位は、コンパクトSUVの「ライズ」だが、1位と2位との差は、わずか1257台しかなかった。つまり1位に限りなく肉薄したのだ。新型の投入により、販売は順調に回復したと言える。

ただし、カローラの順位は、旧型モデルを含めたシリーズ全5タイプを総合した数字だ。重要なのは内訳で、これが旧型の比率が高ければ「若いユーザーを獲得できた」ことにはならない。

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