DV加害者にやめさせる為に絶対欠かせない条件 価値観の変化と被害を自覚させ痛み受け入れる

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一方、加害者が加害意識を持つようになるためには、ある種の強制力が必要になるという。警察に通報する、家を出ていく、子どもには会わせないといった方法だ。

「加害者は『え? ここまでされる?』という経験をしないと、自覚は生まれません。日本では、警察や裁判所がなかなかそれをやってくれないから、すごく大変だけれど、被害者が頑張ってやるしかないんです」

信田さん(撮影:ニシブマリエ)

パートナーを加害者更生プログラムへ

信田さんには『加害者は変われるか?  DVと虐待をみつめながら』(筑摩書房)という著書がある。その中で、被害者には置き手紙方式を勧めている。家を出るときに、以下のような手紙を残しておくといい、という勧めだ。

「あなたの行為はDVだと思います。私はこれ以上DV行為を受け続けることはできないので、しばらく家を離れます。もしあなたが私に会って話したいと思われるのであれば、次の機関で相談を受けてください。そこでのDVに関する教育プログラムを受講して、すべてを修了した段階で、担当者と話し合っていただければ、あなたと会い、話し合う可能性はあるでしょう」

信田さんによると、加害者の変化に欠かせないのは、2つの気付きだ。まずはジェンダーについて学び、旧来の男性中心主義的な価値観が当たり前ではなくなっていることを知ること。次に、妻や子どもがいかに傷付いていたかという被害を知ること。

「私たちのところに来る加害者で、“再犯”のない時期が続いている人はとても多いです。すると、本当に妻が安心する。安心すると、妻は次に『言えなかったこと』を全部言うようになるんです。加害者にとって、その期間はとてもつらい。自分はこんなに勉強をして頑張っているのに、妻から責められ続ける、と。でも、この時期は絶対に必要なので、頑張って妻の話を聞いてくださいと伝えています。彼女たちの苦悩や屈辱感を聞けるだけの基本が、あなたにもできたんだから、と」

(取材:ニシブマリエ=フリーライター)

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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