41歳で初の名刺を得た彼女が苦悩から脱せた訳 就職難に翻弄され、親との関係にも悩み抜いた
毎日のように母親から罵倒されて育った
河野里美さん(仮名・44歳)は、親との関係に悩み、大学卒業時に就職氷河期にぶち当たるというダブルパンチに苦しんできた。
「これまで、何をするにも自信が持てなかった。数えきれないほど人間関係にもつまずいてきたんですよ。本当に生きづらかった」
そうつぶやく里美さんは、スーツ姿の一見サバサバとした優しい雰囲気の女性だ。現在は、正社員として現場技術職に就いている。
里美さんの家庭は、幼い頃に両親が離婚。幼い段階から1人で大人並みの家事や、弟の親代わりとしての役目を強要され、「お前は一生結婚できない」などと毎日のように母親から罵倒されて育った。
里美さんは、次第に自分は価値のない人間だと思い込むようになる。自尊心を形成できず、小中高時代は、壮絶ないじめにも遭った。
同級生に顏が気持ち悪いと嘲笑われ、からかいの対象となった。
目の前で、「オエー」と吐く真似をされたり、ばい菌扱いされたりするのは日常的だった。母親に必死になって、時には泣きながら現状を訴えても、「気にしなければいい」「ニコニコしてればいじめられない」と言われて、無関心だった。そのため学校では常に孤立していた。
「この環境から逃げたい、転校したいと思ったこともある。でも、母親にどんなに訴えても、無理でした。訴えれば訴えるほど、どんどん立場が悪くなり、家庭の中で居場所がなくなっていったんです。ただ耐えるしかなかった。
私は人との距離感や常識がわからない。会社でも学校でも人間関係で失敗してきました。外に出て傷ついても帰ってくる場所がないから、踏み出そうとしても、煙の中を歩いているようで、こわかったです」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら