石炭火力発電所の休廃止政策がどうにも甘い訳 電力改革の現状、送電線空き容量は改善の兆し

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非効率な石炭火力発電所の先行きは? (写真:MasaoTaira/iStock)

来年3月には、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故から10年になる。日本政府は電力制度改革を進め、原子力発電への依存を減らして再生可能エネルギーの利用を進める方針を掲げてきた。一方で、原発事故後の日本が頼ったのは、石炭火力発電所。ところが今、石炭火力は世界中で廃止の風にさらされる。改革の現状は、どうなのか。国内外の電力事情に詳しい京都大学大学院の山家公雄特任教授が診断した。

(メモ・電力制度改革)
従来は全国に10ある大手電力会社が地域ごとに独占的に電気を供給してきた。燃料費や人件費、設備維持費など発電や送電に必要な費用に事業報酬を上乗せした金額が電気代収入として確保できるよう、電気料金を定める「総括原価方式」がとられていた。料金値上げには政府の認可が必要で、大手電力会社は電気を安定的に供給する義務を負っていた。
2011年3月11日の原発事故の後、東京電力管内で計画停電が実施され、全国の原発が点検のため停止し、消費者への節電要請が行われる中で、電力制度改革を本格化させることが決まった。2015年4月の「電力広域的運営推進機関」の設立、2016年4月の電力小売りの全面自由化、2020年4月の発送電分離の3段階からなる。

真の電力自由化がようやく始まる。

――日本の電力制度改革は仕上げの段階に入りました。どのように評価していますか。

山家:7月3日、梶山経済産業大臣が発表した新方針を聞き、日本の電力自由化はようやく真の第一歩を踏み出すことになる、と思いました。

山家公雄(やまか・きみお)/エネルギー戦略研究所(株)取締役研究所長、京都大学大学院経済学研究科特任教授。64歳。1980年東京大学経済学部卒業後、日本開発銀行(現在の日本政策投資銀行)に入り、環境・エネルギー部次長、調査部審議役。2009年から現職。著書に『テキサスに学ぶ驚異の電力システム』など。近著は2020年9月4日発行の『日本の電力ネットワーク改革』(インプレスR&D)(撮影:河野博子)

――7月3日の梶山大臣の発表は、「非効率石炭のフェードアウトおよび再エネの主力電源化に向けた送電線利用ルールの見直し」がテーマでした。送電線利用ルールの見直しに着目されたということですか。

山家:そうです。火力・原子力などの既存の発電所が優先して送電線を利用できる「先着優先」ルールを改める方向を、梶山大臣が言明しました。

――これまでの先着優先のルールとはどんなものでしたか。

山家:発電事業者は、発電した電気を消費者に送るために、まず送電線(系統)に接続して電気を流します。発電事業者と送電事業者が接続契約を結ぶタイミングが早いほうが、送電線を優先的に使えるというルールです。

送電線の容量を上回るような電気が流れることを「混雑」といいますが、そのときには、新しく接続契約を結んだ事業者が真っ先に出力を抑制しなければなりません。後発の再生可能エネルギーによる発電は不利になります。

次ページ問題は混雑がありえないという前提での送電線の運用
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