「小5から保健室登校」の少女が学校で学んだ事 同じ不登校仲間の親友を12歳のときに亡くした

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翌週、昼休みの時間にみーこちゃんが保健室に登校してきました。顔はげっそりとして目の下にはクマがあったそうで、バックの中から大きなビニール袋を出して、千秋さんに、「私、分裂病(現在の統合失調症)なんだって。これ飲まないとダメなんだって」とぽそっとつぶやきました。これまでも時々あった幻聴を、冬休み中に自宅で何度も発症し、病院へ行ったそうです。

その後もたびたびみーこちゃんは休むようになり、引っ込み思案の千秋さんでしたが、たまりかねて夜にみーこちゃんのお家に電話をしてみると、お父さんが出て、「みーこ、具合が悪いから電話に出れない」とだけ言ってすぐにブツッと切られてしまいました。それでも心配で、千秋さんは自転車でみーこちゃんの家を訪ねたときも、またお父さんが出てきて「みーこには会わせられない。来ないでくれ」と厄介払いされてしまったと言います。

みーこちゃんは統合失調症の症状が悪化し、長期入院になったと聞いた千秋さんは、養護教諭に相談し、どうしてもお見舞いに行きたい、みーこちゃんの顔を一目見たいと懇願し、まずはみーこちゃんとみーこちゃんのお母さんに手紙を書きました。

「みーこちゃんのお母さんへ。私は保健室で毎日みーこちゃんと一緒に勉強したり、本を読んだり、絵を描いたりしていました。みーこちゃんとは親友です。みーこちゃんに会いたいです。みーこちゃんとお話がしたいです。みーこちゃんとお話させてください。みーこちゃんと会わせてください。お願いします」

みーこちゃんの変わり果てた姿に…

養護教諭は、みーこちゃんのお母さんにこの手紙を渡すことを約束し、その結果、千秋さんはみーこちゃんが退院した数日後に会えることになりました。ただし、帰宅するみーこちゃんの父親とバッティングしない17時までの時間に。

千秋さんは養護教諭の付き添いのもと、学校が終わってすぐに向かいました。

みーこちゃんは一人っ子で、お母さんと2人でこの日は家にいました。みーこちゃんのお部屋に通された千秋さんは、変わり果てたみーこちゃんの姿を見て泣き崩れました。

みーこちゃんはほとんど寝たきり状態で、おむつをつけてただぼーっと宙を見つめるだけだったと言います。千秋さんの顔を見てもほほ笑むこともなく無表情で、何か話そうとしてもろれつが回らず、何を話そうとしているのかもわかってあげられない……。こんなに大変なことになってしまっていたなんて、予想もしていなかったみーこちゃんの姿に千秋さんは膝から崩れ落ちてしまいました。

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