「小5から保健室登校」の少女が学校で学んだ事 同じ不登校仲間の親友を12歳のときに亡くした

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2学期も終わりを迎え、冬休みに入ろうという頃、みーこちゃんがパニックを起こすようになりました。保健室で本を読んでいると、みーこちゃんが突然「今なんか言った? 誰か男の人に殺すって言われた」などと慌て始め、保健室のカーテンやベッドの下に逃げ込むようになったのです。千秋さんはびっくりしながらも、パニックを起こすみーこちゃんの背中をさすりいつも養護教諭が席を外している際も、寄り添い慰めていました。

次第にみーこちゃんは「死にたい。死にたい」と連日千秋さんに訴えるようになっていきました。千秋さんも、決してまだ心に余裕がある状態ではありませんでしたから、連日みーこちゃんの話を聞いて寄り添いながらも、ある日我慢の限界がきてしまい、「みーこちゃん! 死にたい死にたいって毎日聞かされるこっちの気持ちにもなってみて!」と大きな声を出してしまったのです。

みーこちゃんもこれにはハッとしたようで、「うん、ごめんね」と一言。「しんどい思いをしているのを知っているのに、なんてことを言ってしまったんだ」と千秋さんは今でも後悔していますが、これまでずっと自分の思いを抑えながらみーこちゃんの聞き役でいましたから無理もありません。それでもすぐに2人は仲直りをして、クリスマスにはお互いにお手紙とハンカチのプレゼント交換をして思い出作りをしていました。

精神病院に入院したみーこちゃん

冬休みには千秋さんは家族で親の実家へ帰省するために学校には行かず、みーこちゃんとの再会は3学期(当時の1月中旬)を迎える頃になります。

3学期に入り、千秋さんは旅行のお土産と冬休みどうしてたかを手紙に書いてみーこちゃんに渡すために張り切って保健室へ行きましたが、みーこちゃんはこの日学校へは来ませんでした。そして、次の日も、また次の日も……。

千秋さんは、みーこちゃんが精神病院に入院したことを養護教諭から聞かされました。ただ、みーこちゃんの家族は人目を気にして、「誰にも言わないでほしい」ということだったので、養護教諭もすぐには話さなかったそうですが、千秋さんの心配する様子を気にして、ゆっくりと説明してくれました。

「みーこちゃんね、ご両親のことでいろいろあって、新しいお父さんとうまくいってなかったのは千秋ちゃんも聞いてたよね。千秋ちゃんもみーこちゃんも感受性がすごく豊かだからいろんなことを感じられる子なんだね。それは悪いことではないんだよ。千秋ちゃんはみーこちゃんの心からの親友だから、千秋ちゃんにだけは話しておかないとね。今回は検査入院で1週間で退院するみたいだから、また保健室に来たら入院中どうだったかとかみーこちゃんの話を聞いてあげてね」

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