横浜米軍跡地「新交通」は相鉄の弱点を埋めるか 旧上瀬谷通信施設跡、テーマパーク構想も浮上

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海軍道路は片側1車線で、桜並木もあることから歩道が広めで歩きやすい。駅へ向かう高校生のグループと何度かすれ違った。しばらく進むと神奈川県立瀬谷西高校がある。瀬谷駅から徒歩20分ほどだろうか。

瀬谷西高校前交差点。このあたりに駅があってもよさそうだ(筆者撮影)

ここまでが住宅街で、高校の北側から突然人家が消える。畑、建設会社の資材置き場。海軍道路は一直線に整った道でありながら、バス路線はない。この風景を見る限り需要はなさそうだ。

ちなみに、瀬谷駅から北方面のバスは、海軍道路の西側の県道401号と東側の相沢地区経由の路線がある。相沢経由のバスの終点は細谷戸で、旧上瀬谷通信施設の南側。集合住宅が林立している。海軍道路周辺に住む人々は、駅まで直線的に20分ほど歩くか、地域両側のバス停を利用することになる。

上瀬谷ラインに中間駅の計画はないけれども、瀬谷西高校の南側に駅があると便利だ。平日の通勤通学需要も見込めて事業の採算性が上がると思う。既存のバスに遠慮しているのだろうか。

地平線が見えそうな広い敷地

消防署とガソリンスタンドが並ぶ信号機付きの交差点があり、この先の右側、方角で言えば北東方向が旧上瀬谷通信施設の敷地だ。

上瀬谷小学校東側交差点。上瀬谷ラインはここから地上区間になる(筆者撮影)

上瀬谷ラインはこの付近から地上区間になり、海軍道路の東側を併走する形になる。地表式と高架式の2案が検討され、建設費用、用地、振動、騒音などの要素から、地表案が有力だ。地表に建設される新線は珍しい。旧上瀬谷通信施設全体の土地利用計画の段階で踏切を作る必要はないからだ。

現状でも海軍道路から農地へ向かう道がいくつかあるけれども、農業関係者以外は立ち入りできない。「敷地内について管理者は責任を負わない」という看板があった。米軍基地時代の名残とも言えそうだ。上瀬谷小学校東側交差点付近に終点の上瀬谷駅があり、この駅の関連整備として、両地区を結ぶペデストリアンデッキや立体交差道路ができれば問題ない。

旧上瀬谷通信施設の敷地には広大な農地が広がっている(筆者撮影)

海軍道路の両側はどちらも農地となっていて、ほとんど景色が変わらない。旧上瀬谷通信施設の敷地は広大で、北海道の農場を思わせる。地平線が見えそうだ。その景色のまま、海軍道路は緩やかに右へカーブする。このあたりが車両基地の予定地だ。ここで折り返してもよかったけれど、旧上瀬谷通信施設の外周を歩いてみようと思い立つ。しかし真夏の散歩としては過酷だった。ディズニーワールドより広い敷地だから当然ながら長距離で、旧上瀬谷通信施設を横断して海軍道路に戻ろうにも立ち入り禁止であった。

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