横浜米軍跡地「新交通」は相鉄の弱点を埋めるか 旧上瀬谷通信施設跡、テーマパーク構想も浮上
相鉄にとってはそれで満足かもしれない。いや、実は満足はしていない。だから上瀬谷にテーマパーク建設を進言したと思われる。なぜなら、「相鉄・JR相互直通運転」と「相鉄・東急相互直通運転」には、片方向の需要しか発生しないからだ。朝の上り方向、夕・夜間の下り方向だ。逆方向にはほとんど需要がないから、長編成の電車がもったいない。
これだけ需要が偏った新設路線も珍しい。そうかといって、都心方面の人々にとって相鉄沿線には目的地がない。せいぜい横浜市、川崎市の運転免許保持者が二俣川の運転免許センターに行く程度だ。相鉄沿線の人々が行く海老名は小田急で行ける。横浜はもちろんJRまたは東横線で行く。相鉄関係者にそれとなく聞いてみたけれど「緑の多い沿線、子育てに良い環境に定住していただきたい」というだけで、都心直通線の逆方向需要の創出は考えていないようだった。
しかし、瀬谷駅付近に超大型テーマパークができたとしたら、都心直通線の逆方向需要が発生する。沿線外から人を呼ぶ観光施設がようやく誕生する。相鉄に足りなかったパズルの最後のピースが埋まる。だから「決定した事実はない」という相鉄も「決定するため」に知恵を絞っているはずだ。それとも、誰かがテーマパークを作ってくれたら電車の客が増えるかな、とコバンザメを決め込むだろうか。
上瀬谷ライン沿線を歩いてみた
上瀬谷ライン沿線はどんなところだろう。起点となる相鉄本線の瀬谷駅は横浜駅から13番目。JR直通線(新横浜線)の分岐点の西谷駅、相鉄いずみ野線と分岐する二俣川駅の西側にある。小田急江ノ島線と交差する大和駅の隣だ。特急・通勤特急は通過する。
瀬谷駅は都心直通線の準備として2010年から2面3線から2面4線へ改造する工事に着手し、2013年12月に完成した。駅の北側は区画整理が進み、大型商業施設と交通広場を兼ねた大型駐車場ビルが建つ。駅の南側も再開発が始まり、大型マンションと商業施設を兼ねた「ライブゲート瀬谷」が建設中だ。
横浜市が7月に公開した「環境影響評価方法書」によると、上瀬谷ラインの瀬谷駅は瀬谷駅の北側の地下に造られる予定だ。具体的な場所は未定。地表部から掘り下げる箱型トンネル(開削工法)を採用するとのことで、既存構造物への影響を避けるならば、横浜市立瀬谷中学校の南側が無難だろう。ここから環状4号線(横浜市主要地方道18号)の地下を北上する。通称「海軍道路」で、桜並木の道として地域の人々に親しまれている。沿道は住宅街で、大きな商業施設はない。
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